大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)前副社長(41)が客室乗務員(CA)のピーナッツの出し方に激怒し、離陸直前の同社機を引き返させて機内サービスの責任者の事務長を降機させた、いわゆる「ナッツ・リターン」事件は、世論の反発を背景に趙氏の逮捕・起訴にまで発展した。
メディアの前ではひたすら謝罪を繰り返していた趙氏。だが、その裏で大韓航空の常務に電話で「私の何が間違っていたのか」と不満をもらしたとも報じられ、「反省していない」などと趙氏への批判がさらに強くなっている。
事件起こした直後に「飛行機が遅れたことに対して責任を問う」と本社にメール
ソウル西部地検は2015年1月7日、事件捜査の中間報告を発表し、趙氏を起訴したと発表した。
趙被告は、14年12月5日、ニューヨーク発仁川行きの大韓航空機内で20分にわたってCAに対して暴言を吐いたり暴行を加えたりした上、航空機を強制的に引き返させ、機内安全責任者でもある事務長を降機させたとして航空安全法違反の罪に問われている。これに加えて、国土交通部の調査に対してうその供述をしたとして公務執行妨害の罪にも問われている。
検察の調査で明らかになった趙被告の振る舞いに、改めて批判が集まっている。複数の韓国メディアによると、趙被告は事件を起こした直後、客室担当の常務に
「(CAが)ピーナッツのサービスひとつまともにできない。このようなことで飛行機が遅れたことに対して責任を問うので準備するように」
とメールで指示していた。常務はメールだけでは事態が把握できなかったため、事務長に電話で確認。事務長は趙被告の行動の一部始終を報告書にまとめて本社に送った。だが、常務は趙被告の行動が違法だと認識し、報告書を受け取った従業員に対して報告書のファイルの削除やPCの入れ替えを命じ、証拠隠滅を図った。
この常務も、証拠隠滅を主導し調査を妨害した罪で起訴されている。
12月8日には、趙被告は常務に対して、電話で
「(飛行機から降ろすという)最終決定は機長がしたではないか。マニュアルを徹底できなかった者を降ろしたのが何の罪になるのか。間違った事務長が謝罪しなければならないのではないか」
などと伝えていた。「私の何が間違っていたのか」とも述べたという。