新OS「タイゼン」搭載テレビ発売を計画
3年前の営業利益減の際は、業績面で不振だった液晶を成長株のスマホが補った。だが今回は状況が異なり、「スマホ頼み」が続きそうだ。
2014年4月に発売された「ギャラクシーS5」は、販売の伸び悩みが懸念された。10月には、スマホ本体の右側面にディスプレーが湾曲する形で伸びた「ギャラクシーノート・エッジ」を発売。「S5」の後継機種となる「S6」も2015年の早い段階で発売とのうわさが出ており、1月6日から米ラスベガスで開かれているデジタル製品の見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」(CES)でのお披露目が期待されている。まずは主軸のビジネスで攻勢をかけたいところだろう。
もうひとつ、サムスンが2015年の目玉に据えたいのが、同社が中心となって開発したOS「タイゼン」だ。米ウォールストリートジャーナル(WSJ)日本語電子版は1月6日、サムスンの尹富根社長兼最高経営責任者がCESの前のインタビューで、タイゼンを搭載したテレビを2015年2月に発売する計画を明らかにしたと伝えた。ウェアラブル端末だけでなく、他の分野にも拡大させたいという。
スマホやタブレット型端末のOSでは現在、米グーグルが開発した「アンドロイド」と、米アップルの「アイフォーン(iPhone)」や「iPad」に搭載されている「iOS」の2強状態。アンドロイドは、インターネット機能を備えた「スマートテレビ」に採用するメーカーもある。ふたつのOSは強力な壁だが、サムスンはタイゼンを積んだ各種端末で勝負を挑もうというわけだ。ただしWSJの記事では、アプリ開発企業のタイゼンに対する関心は低いと厳しい見方を示しており、現時点でどこまで伸びるかは未知数だ。
長年サムスンを率いてきたカリスマ経営者、李健熙会長が病に伏せており、後継者と目される息子の李在鎔副会長の動きにも注目が集まる。韓国の主要紙・中央日報日本語電子版は1月8日付記事で、李在鎔氏がCESへの出席を見送り、サムスングループ各社の代表と会って事業計画にかかわっていると報じた。反転攻勢への足場固めとも予想される。
ただ、周りでは「中華スマホ」をはじめ強力なライバル企業が牙をむく。通貨ウォン高や、大韓航空のいわゆる「ナッツリターン事件」以降の財閥企業に対する韓国社会の厳しい目といった「不安要素」もあり、油断できない状況が続く。