韓国サムスン電子の2014年10~12月期連結決算で、営業利益が前年同期比37.4%減に落ち込む見通しとなった。
主軸のスマートフォン(スマホ)事業が中国の新興メーカーに押され、苦戦続き。巻き返しにはスマホの復活、さらには新開発の基本ソフト(OS)の動向が左右しそうだ。
モバイル部門の利益低下、スマホ世界シェアも落とす
2015年1月8日に発表された速報値によると、営業利益は5兆2000億ウォン(約5620億円)。複数の報道によるとアナリストの予想を上回り、前期(7~9月期)比では改善したという。ただし前期の決算は「サムスンショック」と呼ばれるほど悪化したことを考えると、素直には喜べない数字だろう。
通年でも9年ぶりの減収、そして2011年以来の3年ぶりの減益が見込まれる。2011年は、事業の柱だった半導体と液晶パネルの価格下落が響いた半面スマホが好調で、売上高では当時の過去最高となった。一部事業が不振でも、別のビジネスがカバーできていた。その後は、「ギャラクシー」ブランドが成長してモバイル分野が事業全体をけん引し、2013年は売上高、営業利益ともに過去最高を記録した。
そこから1年で「暗転」した背景には、スマホの不調がある。1月8日付のロイター通信は、2013年に全体の利益の約68%を稼いでいたモバイル部門が、2014年7~9月期には約44%に低下したと伝えた。同四半期のスマホの世界出荷台数を見ると、サムスンが大きくシェアを落としていることが分かる。米調査会社IDCの2014年10月29日付発表資料によると、サムスンは首位を守ったもののシェアは前年同期の32.5%から23.8%と縮小、出荷台数もトップ5メーカーの中で唯一マイナス成長だった。
代わって台頭してきたのが、小米(シャオミ)や華為技術(ファーウェイ)、聯想集団(レノボ)といったいわゆる「中華スマホ」勢。特に小米は2014年に快進撃を続け、売上高は前年比135%増、携帯電話販売台数は6100万台を超えた。低価格ながら機能やデザイン面で大手メーカーに引けを取らない端末が、おひざ元の中国で人気を呼んだ。割を食ったのがサムスンで、中国市場でのシェア首位を奪われてしまった。「お得意さま」だった中国で、地元発の強力なライバルが登場してきたのは頭の痛いところだろう。