青山学院大学が初の総合優勝を果たした箱根駅伝で、「『新』山の神」こと神野(かみの)大地選手(3年)以外にも、思わぬ方向から注目を浴び、熱烈な応援を受けていた選手がいた。2015年1月3日の復路の6区を走った、順天堂大の森湧暉選手(2年)だ。
森選手がテレビの取材に語った意気込みは、「AKB48からパワーをもらって走ります」。森選手が走っている間に、過去のツイッターの書き込みも「発掘」された。そこから明らかになったのは、1年で最も印象に残ったことを「推しの生誕祭」と答えるほどの推しメンへの相当な入れ込みぶりだった。普段は箱根駅伝の何の興味もなさそうな層からも「ファンになった。順天堂頑張れ!」といった声が相次いだ。
1年で一番心に残っていることは「推しの生誕祭に入れたこと」
「ガチオタ」ぶりが話題になっていたのは、復路では最初の区間にあたる6区(芦ノ湖~小田原)を走った順天堂大の森湧暉選手。
「そして、順天堂大学です。6区は2年生の森湧暉に変更しました。AKB48からパワーをもらって走りますと、そんなことも話をしていました」
午前8時に復路がスタートした直後の選手紹介で、アナウンサーがこう解説し、森選手のAKBファンぶりが広く知られることになった。例年、箱根駅伝復路の視聴率は27~28%を記録している。それだけに影響は大きく、すぐに本人のものらしきツイッターのアカウントが特定された。そのアカウントによると、「推しメン」は高橋朱里さん(17)。14年の選抜総選挙では、28位にランクインしている。
森選手のものとみられるアカウントのプロフィールには「もう僕は 朱里以外見えてない」「朱里ワールド」とあり、「朱里推し」を強くアピール。12月22日には、こう書き込んだ。
「箱根駅伝って事前に16人のエントリーメンバーには全員に取材が何回かあるんですけど、今日もあって推しのことについて聞かれたよね。『誰が好きなんですか?』-『高橋朱里です。』このやりとり何回もしてる」
「競技でもそれ以外でもどちらでもいいから今年1番心に残っていることについて聞かれたから、『推しの生誕祭に入れたことです』ってドヤッた」
AKBの劇場公演では、誕生日を迎えるメンバーに対して「生誕祭」と呼ばれるイベントを有志が企画する。そもそもAKB劇場公演のチケットはきわめて高倍率で、推しメンの「生誕祭」チケット入手はさらに難しい。それだけに喜びもひとしお、というわけだ。
レース数時間前にも「マジすか楽しみだなぁ」
1月3日未明には、
「マジすか楽しみだなぁ」
とツイートした。「マジすか」とは1月19日から放送が始まる、AKBメンバーによる学園ドラマ「マジすか学園4」のことを指しているとみられる。同番組には、高橋さんの出演も決まっている。レースの数時間前まで「AKBに力をもらっていた」とも言えそうだ。
順天堂大の往路順位は15位だった。復路の6区では、7位の東海大まで時差スタートで、8位の城西大学以下はいっせいにスタート。森選手は20.8キロを走り、小田原中継所では11番目に次の選手にたすきをつないだ。森選手の走りで順天堂大は順位を上げたことになる。
ただ、順天堂大の総合順位は12位で、2年連続でシード権を逃している。
森選手はレース後に
「来年必ずリベンジします!今日はたくさんの応援ありがとうございました!!」
と書き込み雪辱を誓っていた。