新興国の原発導入拡大をにらんだ新事業も狙う
こうした状況を受け、日本原電の経営形態見直し論が勢いを増している。そこで新たな収益源の本命とみられるのが、廃炉支援ビジネスだ。同社の浜田康男社長も5月の記者会見で「(東海原発で)廃炉のノウハウを蓄積しており、これを役立てられないか検討している」と述べている。政府が原発の寿命を運転開始から原則40年に決めており、老朽化の目安となる稼働後35年以上の国内原発が10基以上あり、今後の需要が見込める。コンサルタント料をとるほか、将来的には、廃炉作業自体を請け負うことも視野に入れ、日本原電社内で検討を進めている。
新興国の原発導入拡大をにらんだ新事業も狙う。官民で初めて受注したベトナムの原発建設にあたり、現地調査を任された実績を持つことから、設備設計や運転技術供与など原発輸出支援や海外事業にも取り組むことを検討している。
さらに、東電の東通原発(青森県)の建設を受託することも浮上している。同原発は2011年1月に着工したが、大震災で中断したままになっている。日本原電に任せれば、東電は福島第1原発廃炉その他にマンパワーを振り向けられることになる。
こうした原発廃炉や国内外の原発建設の受託等の延長上には、日本原電を原発の運転・保守や廃炉の「受け皿会社」とする考えに行きつく。日本原電自体の原発が稼働できないとすれば、原発を持たずに運営などを請け負う会社になる可能性もある。
さらに、日本原電の経営形態見直しにからんで、東電の柏崎刈羽原発など、福島第1と同じBWR原発を原電に集約するなど、長期的には、各電力会社が保有する原発の再編につながる可能性も取りざたされる。