アベノミクスのゆくえ(4)
小田切尚登氏インタビュー(下)
格差拡大は世界的「潮流」、勝ち組をさらに強くしていくしかない

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モノづくりの技術力は大きな強み

―― 日本はどうすればいいのでしょうか。

小田切: 国の借金返済のためにも、1日も早く景気を回復させなければなりません。海外へ行くと、日本の産業の力強さは本当にすごいと感じます。世界的には自動車や機械、素材や化学など、よく言われることですが、日本のモノづくりの技術力は大きな強みです。そこをさらに磨くしかありません。
モノづくりの現場では、日本人のよさは「信用できること」「まじめに働くこと」といわれます。これは大きなアドバンテージで、そこはもっと自信をもっていいのだと思います。しかし、マーケティングやデザイン、独創性といった点で弱いため、収益力で見劣りする場合も少なくなく、そこが今後の課題でしょう。
また、米国はたとえば、自動車もエネルギーも、映画や音楽もどれをとっても強い。日本はモノづくり以外の分野、金融、医療、IT、エネルギー、小売り、エンタテイメントなどではまだまだ弱いです。このところ自動車ばかりが儲かっているようにみえますが、世界で競争力のある産業が勝ち組になるのは当然ともいえます。
モノづくりだけでなく、いろんな分野に勝ち組が出るようになることが望まれます。

―― 政府は具体的に、なにをすべきなのでしょうか。

小田切: 国がすべき努力としては、国際収支を毎年黒字にすること。(米国より低いのに)法人税率の引き下げなど、必要のない減税をやめること、少子高齢化の厳しい中でも補助金抜きでアベノミクスの「成長戦略」をやり抜くことでしょうか。ただ、実際には政府が経済成長に貢献できることは少なく、民間の邪魔をしないことが何より大事。民間企業が自由闊達に、そしてフェアにビジネスを展開できるような環境を整えること。それに尽きます。(連載おわり)
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