国債暴落の可能性、「東京に大震災が起こるのと同じくらい」
―― もっとも、消費増税の延期を理由に、米格付け会社が日本国債の格付けを引き下げましたが、市場は反応しませんでした。
小田切: たしかに格下げがマーケットに影響したかというと、ほとんど影響はありませんでした。ただ、日本は1200兆円もの借金を背負っています。その返済原資が細るのですから、「リスクがないわけがない」ということは認識しておく必要があります。
―― なぜ、マーケットは反応しなかったのでしょう。
小田切: 世界的にみた場合、日本の経済成長はいいとはいえませんが、すごく悪いわけではありません。むしろ日本国債は他の多くの投資対象と比べると、安定的な投資先と評価されているのです。
―― そうすると、国債暴落やハイパーインフレの可能性はないと考えていいのでしょうか。
小田切: 繰り返しになりますが、日本の経済成長は悪くはありません。少なくとも比較的安定的に推移しているところは、米国を除く大半の国よりも優れています。
もちろん、莫大な借金があるわけですから、なんの策も講じなくていいわけではありません。すでに1~2%の金利上昇は想定しているようですが、問題は10%とか、20%とかに上昇することはあるのか、それが起こる可能性はどのくらいなのか、ということです。
これは現実的なリスクとしてなかなかイメージできるようなものではありません。たとえば、東京に大震災が発生するといった例と同じだと思っています。
つまり、国債暴落やハイパーインフレの可能性は「ある」が、その可能性を前もって予測できるようなものではないと考えています。
―― デンマークやスイスをはじめ、EU(欧州連合)ではマイナス金利を導入する国が増えています。日本での可能性はありますか。
小田切: 日本がマイナス金利を導入する可能性はあります。マイナス金利は、金融緩和の一環ですから、民間の銀行が日銀にお金を預けておくくらいなら、企業に貸し出そうという流れに促していく政策です。
たとえば、国債の買い取りを抑えるためにマイナス金利を導入するという判断はあるかもしれません。
一方でたとえば下手に貸出リスクを取るくらいなら日銀に多少の金利を払っても置いておこうというような銀行の判断もあります。
またグローバルでは、スイスフランのような強い通貨でマイナス金利になることがあります。ともあれこれは一定の効果が見込まれる政策ではありますが、うまく導入しないと「劇薬」になる恐れもあります。