画像共有SNS「Instagram(インスタグラム)」の利用者が2014年12月に3億人を突破した。国内でもファッションブランドや企業の活用例が増える中、「美しすぎる」と一際注目を集めているアカウントがある。
「feel_kiyomizudera」。京都の世界遺産、清水寺(京都市東山区)による公式アカウントだ。
3か月半で1万7000人以上がフォロー
同アカウントは「出会いと発見」をテーマに清水寺の「今」を紹介するとして、夕日に染まる境内や秋の紅葉、静寂な祈りのひと時など、すでに50点近い写真を公開している。観光客で賑わう普段の姿とは一味違った「公式」ならではのショットは、思わず息をのむ美しさだ。
フォロワーからも、
「本当にこの世なのか」
「心が洗われます...」
「一日の疲れが癒されます...」
「素敵な写真ありがとうございます」
といった感想が寄せられ、海外からのコメントも珍しくない。9月の初投稿から約3か月半で1万7000人以上がフォローする人気アカウントとなっている。
寺院や神社がFacebookやTwitterを使うことはあっても、Instagramは少ない。加えて投稿写真も明らかに「プロの仕事」とあり、ネット上でも「中の人に拍手」「写真上手すぎておののく」と運営側に対する称賛の声があがっている。
「清水寺の『今』そして『奥行き』を観じて頂くきっかけづくりが立ち上げの目的です。これまで社寺仏閣に馴染みや縁がない方々には、最初の橋渡しの役目を果たし、また既に馴染みや縁がある方々にとってはより親しみ、深みを観じて頂く機会となる事を願っています」
そう説明するのは、清水寺のホームページ等を担当しているという大西英玄さんだ。
プロ写真家が届ける清水寺の「今」
実はこのアカウント、清水寺が2013年10月にオープンさせた特設サイト「清水へ参る道」のコンテンツの1つになっている。サイトは、これまであまり知られていなかった清水寺の姿を紹介するという位置づけで、Instagramは清水寺の「今」を伝えるコンテンツとして新たに仲間入りした。同時期にはメディアミックスブログサービス「Tumblr(タンブラー)」のアカウントも新コンテンツとして追加されている。
長い歴史を持つ清水寺が突然話題のSNSに乗り出したかと思われたが、以前から積極的に行っているWeb発信の一環だったようだ。
大西さんによると、アカウントは清水寺の年間行事の一つである「千日詣り」(8月9日~16日)の際に開設したそうだ。ちなみに写真を担当しているのは、お坊さんではなく、特設サイトの写真も担当している「ディスカバリー号」(名古屋市)代表の須藤和也氏だという。
大反響に大西さんは、
「参拝頂き、仏の対峙する事で自分や誰かの為に祈る、自然や諸堂の景観に触れ心穏やかとする、その瞬間、一時は少なくとも心に平和が存在すると考えます。その縁を少しでも多くの方に共有して頂きたい、同アカウントがその道しるべとしての役目を果たす事を願っています」
と話している。