アベノミクスの行方(1)
嶌峰義清氏インタビュー(上)
景気停滞は政府の「油断」 もっと早く手を打つべきだった

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4月の株価下落が消費マインドを冷やした

―― 2014年の国内景気について、エコノミストはなにを見誤ったのでしょうか。

嶌峰: 一つは米国景気です。2014年は米国景気が立ち直ってくるとみていましたが、1~3月期の成長が寒波の影響もあって鈍かった。米国の経済成長が本格的に上向いてきたのは、4~6月期以降です。米国経済は中国やアジア、欧州の景気をもけん引しますから、米国景気の立ち遅れが結果的に日本にも響いたといえます。

―― 実質賃金が上がらなかったことで、消費マインドも上がらなかったとの指摘があります。その点はいかがでしょうか。

嶌峰: たしかに、その影響がないとはいえません。ただ、給料と物価の関係で、アベノミクスが大きく貢献した2013年をみると、給料は1%程度下落。その一方で、物価は約1%上昇しました。その差は2%(ポイント)ありましたが、それでも消費マインドは上がり、モノも好調に売れました。
ところが、2014年の給料の上昇は0.5%。政府が経営者の尻を叩いたものの、結果的にわずかな上昇にとどまりました。一方、物価は3.0%も上昇して、その差は2.5%(ポイント)に広がりました。
とはいえ、前年と比べてわずか0.5%の差で消費が冷え込むことも考えにくい。では、消費マインドがさえなかった原因はなにか――。それは4月の消費増税後に株価が下落したことにあるとみています。13年は年間を通じて株価は右肩上がりでした。株価は景況感に大きく影響します。株価への不安が(消費マインドにとって)大きかったといえます。
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