「後輩のグループだったりとか、たくさんそちら(台湾)のほうでコンサートもやらせてもらっているので......」
SMAP・木村拓哉さんが、少し言葉を選ぶようにしながら口を開いた。その木村さんを、台湾からやってきたという女性記者がじっと見つめている。
「僕らまだ(コンサートを)できてないので、チャンスがあったら」
木村さんはそれでも最後は、はっきりとした口調でそう言い切った。2014年12月30日、NHK紅白歌合戦のリハーサルの合間に行われた囲み取材での一幕だ。
北京公演時には「台湾でやってほしかった...」
台湾には「哈日族」と呼ばれる、日本のエンタメ文化を愛する親日的な人々が多いことで有名だ。中でもジャニーズを初めとするアイドルグループは、日本国内に負けず劣らずの高い人気を誇る。最近では嵐がその筆頭格だが、SMAPも長年にわたり日本アイドルの代表として親しまれており、2006年、香取慎吾さんがテレビ番組のロケで初めて台湾を訪れた際には、多量のファンが詰め掛けて空港が混乱する騒ぎとなり、香取さんもその「熱烈歓迎」に感激し「台湾でコンサートがしたい」と宣言、現地の期待を大いに盛り上げた。
一瞬戸惑ったような表情を見せる
ところがそれから8年、台湾でのSMAP公演は、現在にいたるまで実現していない。後輩の嵐が複数回のコンサートを行っているのとは対照的だ。さらにこの間2011年、SMAPは中国・北京でのコンサートを敢行している。この模様は台湾でも大きく取り上げられたが、「日中友好」という建前があったとはいえ、長年応援してきた現地ファンからは中国本土が優先されたことに不満の声もあったと伝えられる。
「台湾でコンサートをやる予定はおありでしょうか?」
30日、台湾メディアからこんな質問が飛んだのは、そうした背景があってのことだ。この囲み取材では、「今年1年を振り返って......」「クリスマスの過ごし方は......」など、いわば「ぬるい」質問がほとんど。それだけに、メンバーも一瞬戸惑ったような表情を見せた。木村さんも「あのー......」としばし言葉に詰まる。
しかし上記の通り、木村さんの答えは台湾公演への意欲をうかがわせるもので、質問した記者からも、「楽しみにしております」と笑顔がこぼれた。このやりとりが現地メディアで伝えられれば、「哈日族」の間で大きな反響を呼ぶことが予想される。