連載・世襲政治に未来はあるのか(終)
今回も世襲は本当に強かった 自民党は比例含め候補者全員当選

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菅官房長官「持論だが、世襲制限は必要だと思っている」

   ただ、政府の中枢には、こういった現状を望ましいと思っていない人もいるはずだ。自民党が下野するきっかけになった09年衆院選のマニフェスト(政権公約)に「『世襲候補』の制限等」という項目を盛り込んだ菅義偉官房長官だ。

   菅氏は2014年12月26日の記者会見でも、世襲に否定的だった。

「(09年衆院選)当時、私は選対の副委員長だった。私の持論だが、世襲制限は必要だと思っている。自分がその立場(選対)になったので世襲制限を行った。当時、自民党の国会議員のうち4割近い人が世襲で、党内でも色々な論争があったが、そうしたことを貫いたことで現在は多分1割以下になったと思う」

   菅氏の「多分1割以下になった」という発言は正確ではない。衆院選で当選した自民党候補291人のうち世襲は85人で、「世襲率」は29.2%もある。民主党は当選した73人のうち世襲は13人で、「世襲率」は17.8%。今でも明らかに自民党の方が世襲が幅をきかせていることが分かる。

   菅氏は、

「自民党はある意味で幅広く『国民政党』になってきている、そう思っている。色々な方が自民党公認で出馬できる機会が大きく広がった。公募の導入など色々なことを行ったので、そこは間違いなくそういう方向になってきた」

と続けたが、実際は「道半ば」といったところだ。

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