注目浴びる「ネトウヨ主婦」 生活安定、子育て一段落したアラフォーが中心

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   韓国や中国を批判し、愛国的な主張を訴える「ネトウヨ」は男性中心のイメージが強いが、意外に女性の姿が目立ち、主婦も少なくない。

   この数年、週刊誌に取り上げられ、関連本も出版された。女性を中心にしたネトウヨ団体はネットで活動を盛んにアピールしている。デモに参加経験がある評論家は「現在、ネトウヨのうち女性の割合は2~3割に上る」と語る。

ネトウヨ全体の2~3割が女性

デモには女性の姿も(13年3月、編集部撮影)
デモには女性の姿も(13年3月、編集部撮影)

   「週刊現代」(3月8日号)は「増殖中!妻が『ネトウヨ』になりまして」という特集記事を掲載した。「在日」「マスゴミ」「売国奴」と言葉を発し、夫を驚かせた妻の変わり様を紹介した。また、北原みのりさんと朴順梨さんの共著「奥さまは愛国」は嫌韓を叫び、ヘイトスピーチを行う主婦をとらえている。

   ネット上の保守的な動きに詳しく、デモや集会に参加した経験がある古谷経衡氏は「ネトウヨが登場し始めた2002年ごろは男性中心でしたが、現在は女性が2~3割占めています」と語る。民主党政権時の「子ども手当」に対し、「在日韓国人の子どもに支給するな」と反発した女性たちが急増し、その後、韓流偏向だとしたフジテレビへのデモなどを通じ、活動に定着していったという。

   中でも40代前後のアラフォー世代が多く、「子どもが小学校に通って手が掛からなくなり、時間に余裕ができた主婦がネット世論に感化されるケースが多い」と話す。活動はネットの世界にとどまらず、デモや集会にも積極的に足を運ぶ。主張を綴ったチラシを各戸に入れる、ポスティング作業で中心的な役割を担っているという。

   古谷さんによると、ネトウヨ主婦は大きく2パターンある。

「1つは夫にネトウヨ的な主張を伝えようとする人。ただ、仕事で疲れて帰ってくる夫に受け入れられることは多くないようです。もう1つは夫との関係がもともとうまくいっていない人です。休日も活動に精を出し、家族関係がさらに悪化することもあります」

   ただ、離婚に踏み切る人は少ない。生活は安定し、子育てもまだ途中。家事をきちんとこなしながら、活動をしている人が多い。

「『慰安婦=性奴隷』のウソに終止符を!」と主張

   ネットを見ると「愛国女性のつどい 花時計」「そよ風」「なでしこアクション」といった女性を中心にした組織は数多く存在する。「マスコミの偏向報道、教育現場での自虐史観授業等に日本の危機を感じています」「正しい歴史を次世代に繋ぐネットワーク 『慰安婦=性奴隷』のウソに終止符を!」といった主張を展開している。

   現実社会での政治活動も盛んだ。現役の政治家を呼んで集会を開いたり、東京・渋谷のハチ公前で街頭演説を行ったりしている。サンフランシスコでシンポジウムを開いたこともあるという。

   「ネトウヨ主婦」の存在は、中国共産党の機関紙「環球時報」(ウェブ版)でも報じられた。同紙記者は日本で出会った複数のネトウヨ主婦のエピソードをもとに、「日本と中韓の関係が悪化したため、右翼のたまり場となっている2ちゃんねるの影響を、時間のある主婦が受けてしまったのだろう」と分析した。記事は中国で拡散し、「日本における軍国主義の土壌は根深い」と波紋を広げた。世界でも認知を広めつつあるかもしれない。

   ただ、主張が近い「次世代の党」が衆院選で得票を伸ばせなかったこともあり、古谷さんは「そもそもネトウヨ主婦の絶対数は多くない」という。「活動に疲れたり、男女関係や金銭トラブルがあったりして組織を抜ける人はいる。しかし、ネットに数多く存在する主張に触れることで新たにネトウヨ化する主婦もいて、規模はこの数年、安定している」と話す。

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