米国産ポテトの出荷が遅れている影響でマクドナルドが「マックフライポテト」をSサイズしか提供できず苦しむ中、コンビニや外食各社がポテト商品に力を入れ始めた。
新商品の投入に、原材料の緊急輸送――。業界はさながら「ポテト戦国時代」の様相を呈してきている。
コンビニ各社が新商品投入
こうした動きは、特にコンビニ各社で盛んだ。ミニストップは2014年12月26日から2週間にわたって、ドイツ産じゃがいもを使用した人気の「Xフライドポテト」を198円(税込)の価格据え置きで1.5倍に増量するキャンペーンを実施。年明けからは北海道産じゃがいもを使った新商品「十勝ハッシュドポテト」を投入すると発表した。
ローソンもヨーロッパ産じゃがいもを使った新商品「フレンチフライ」を1月13日から販売する。これまで販売してきた「Lポテ」(米国産じゃがいも使用、在庫なくなり次第終了)と入れ替わるように登場させる。
両社ともマクドナルドがSサイズ限定販売を発表した後のタイミングに発表したため、「マックの隙を狙ったのでは?」という見方もない訳ではない。しかし、両社ともきっぱりと否定する。
J-CASTニュースの取材にミニストップは「Xフライドポテトの増量キャンペーンはこの数年続く年末恒例のお楽しみとして実施しています。新商品も以前から企画開発を進めていました」、ローソンも「商品企画は前々から進んでいた話。新商品でヨーロッパ産のポテトを使うのは商品の性質に合わせたため」という。
コンビニ以外も「マクドナルドの隙をついた」と認めてはいないものの、対応は活発だ。
ガストなど大手ファミレスを展開するすかいらーくは約250トンのジャガイモ加工品の緊急輸入に踏み切った。ハンバーガーチェーンのロッテリアは一部店舗で「ポテトはどのサイズでもご用意できます」とポスターを掲示して話題を集めるなど、ポテト供給のアピールに余念がない。
「新商品の追い風になったのは事実」
こうした動きを受け、マクドナルドは12月26日、来年1月5日からポテト全サイズの販売を再開すると発表した。各社の動きについて「他社のことよりも、現在の状況を改善するために全力を注ぐ」としてきたが、輸出が滞る西海岸ルートに加え、東海岸ルート、航空便を通じて調達することで在庫確保の見通しが立ったという。ただ、「西海岸の港湾労使交渉については予断を許さない状況」と認め、「引き続き状況を注視」する姿勢だ。
マクドナルドのつまずきを、複数社の広報担当が「直接狙っていた訳ではないが、追い風になるのは事実」「ポテトに注目が集まる今、新規の消費者を開拓するチャンスだ」としている。