働く女性の深刻な悩み、便秘 ストレス増幅の悪循環型が危ない

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   国の統計によれば便秘に悩む人は、およそ500万人と推計される。とりわけ女性は男性の約2倍の割合だ。働く女性を対象とした最近の意識調査によると、便秘の症状があるときほどストレスは高まる傾向にあることがわかった。

   製薬会社のアボット ジャパンは、便秘に関する意識調査の分析結果を2014年11月11日に発表した。それによると、同年5月に行った調査のうち、直近1年間に便秘の症状があった男女2万9161人の中から、「便秘の自覚症状として仕事や家事が億劫になり困っている」と回答した人を抽出して、追加調査を行った(期間は6月20日~24日、インターネット調査による)。

自律神経を介して脳と腸は密接な関係がある

便秘にもタイプがあるって知ってた?
便秘にもタイプがあるって知ってた?

   そのうち、「便秘が原因で仕事が億劫になった」と回答した20代以上の働く女性194人を対象に分析した。まずは、ストレス度を10段階に分け、1~3を「低ストレス」、4~7を「中ストレス」、8~10を「高ストレス」として、ストレスの強さを評価してもらった。すると、「高ストレス」を選んだ人は、便秘の症状がないときは12%だったのに対し、症状があるときは69%とかなりの差が出た。

   また、彼女たちの生活習慣で当てはまる項目を選んでもらうと、複数回答で多い順に「ストレスを受けやすい環境で過ごすことが多い」(60%)、「甘いものをよく食べる」(59%)、「定期的に運動する習慣がない」(57%)。一方、職業特性については「座りっぱなしでいることが多い」(53%)、「なかなかトイレに行く時間が取りづらい」(29%)、「立ちっぱなしでいることが多い」(27%)だった。

   便秘の原因はいくつかあるが、ストレスもそのひとつだ。ストレスによって便秘になり、それによってさらにストレスが高まるというのも皮肉な「悪循環」で、身体的な自由度が少ない職場環境に縛られているとなれば、現代病と言えるのかもしれない。

   自律神経を介してつながる脳と腸は「脳腸相関」と呼ばれる密接な関係がある。脳がストレスを感じると、大腸に影響して腹痛や便秘などの症状となって現れるのはそのためだ。しかも、引き起こされた症状によって、今度は脳がストレスを感じるという。ストレスが増幅される悪循環となる。ストレスで自律神経が乱れれば、皮膚の血行が悪くなり、そのせいで肌荒れが起きるから、女性にとっては悩ましい限り。便秘がひどい場合は医師に相談する手もあるが、予防や解消によい方法はないか。

規則正しい生活、食事、適度な運動

   便秘を分類すると、病気がもとで起きる「器質性便秘」と、大腸の機能の低下による「機能性便秘」がある。日常的に悩まされるのは機能性便秘の方で、主に、(1)直腸性便秘、(2)弛緩性便秘、(3)痙攣性便秘の3タイプに分けられる。

   1つ目の直腸性便秘は、トイレを我慢しすぎることによって便意を感じにくくなることで起きる。女性に多い。2つ目の弛緩性便秘は、大腸の働きが低下することによって便を押し出しにくくなっている状態だ。原因は水分の不足、運動不足や腹筋力の低下など。3つ目の痙攣性便秘が、ストレスで大腸の働きをコントロールする自律神経のバランスが崩れることによって便が出にくくなるタイプだ。女性に便秘が多いのは、トイレを我慢しがちなこと、男性に比べて腹筋力が弱いこと、女性ホルモンの影響なども挙げられる。

   厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」によると、(1)や(2)のタイプを予防するには、規則正しい生活や食事、適度な運動をすすめる。自然な排便リズムを保つことも大切だ。食生活では、便の量を増やしたり、排便のリズムを整えたりする食物繊維を含む食品の摂取がよい。また、適度な香辛料やアルコールなどは排便を促す。はちみつなど糖分を含む食品は大腸の運動を高めるのに役立つという。水分の補給も欠かせない。

   一方で(3)のタイプは、過労やストレスが原因で、その解消が必要だ。食生活では、食物繊維の中でも、いも類や果物類、海藻類などに含まれる「水溶性食物繊維」の摂取が望ましい。便をやわらかくして排泄しやすくする。逆に、穀類や豆類などに含まれる、水に溶けにくい性質の「不溶性食物繊維」は、大腸への負担が大きくなるので摂り過ぎは控えたい。同様の理由で、腸を刺激する香辛料やアルコール・カフェイン飲料、脂質の摂取も避けた方が賢明だろう。

   便秘はタイプによって対処の仕方が違う。自分がどのタイプかを見極め、食生活を工夫したい。

[アンチエイジング医師団 取材TEAM/監修:山田秀和 近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長]


アンチエイジング医師団
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