大阪市立大学の7学部が入っている杉本キャンパス内で自転車の入構の全面禁止が決まり、ツイッターなどで学生や教師から激しい反発が出ている。
学生たちはキャンパス内で自転車に乗ることを許可して欲しいと署名活動を行ったりしていたが、それを無視して学長がトップダウンで勝手に禁止を決めた、と怒っている。
学生がいない冬休みを狙った通達だった?
大阪市立大学の杉本キャンパス防犯対策等会議によれば、杉本キャンパス3区画のうち2015年4月から自転車入構の全面禁止をするのは2区画で、残り1区画は同年8月から実施する。もともとスピードの出し過ぎや二人乗り、無灯火といった危険運転があり、苦情が出ていた。自転車規制のきっかけになったのが13年12月の自転車同士の衝突事故。こうした事故を防ぐための対策会議が開かれ、学生400人に自転車利用に関するアンケートをしたり、職員が校門入り口などに立ったりして監視し、自転車に乗っている学生を発見すると手で押して歩くよう指導してきた。
一方、これに反発したのが自転車を利用してきた学生たち。杉本キャンパスは広く端から端まで歩けば10分以上かかる。教室を移動し、部活動でグラウンドに行くには自転車は便利で必要不可欠だという。
「なぜ大学は自転車を目に敵にするのか」
「そもそも現状でも文学部棟~8号館などの移動は時間がギリギリ」
などといった批判が起こった。8月には自転車を利用させてほしいとして、1000人ほど署名も集めた。そうした中で、学生がいない冬休みを狙って全面禁止の決定が下されるのではないかという噂が出て、それが的中するかのように12月24日にキャンパス内に全面禁止の看板が立てられた。自転車の許可を訴えてきた学生たちは激怒し、今回の騒動についてのまとめサイトを作った。ツイッターには、
「学生のこと一切考えてない。自転車乗ってる人だけの問題じゃない」
「ついに入構禁止にまでするなんて...学生を信頼してないんやね。」
「意見言っても無視されてこんなやり方続けられるんなら、とっとと府大と統合して市大消滅してくれ」
などといったことが書き込まれた。
学生たちの動きに理解を示してきた現代音楽専攻の増田聡文学部准教授もツイッターで、
「反対署名も無視され学長の判断で通達されて告知だけが進んでいる。オレこういう大学ほんま情けないとおもう」
などと怒りを露わにした。
「これ以上学生を危険な目に合わせることはできないということです」
増田准教授に電話で話を聞いてみた。
准教授によると、学長の諮問機関は初めから全面禁止を「報告事項」として論じていて、学生委員会との折衝もなくトップダウンで決定したようだ、という。
「学生委員会では大学側のやり方に多くが反対していたようですし、署名活動まで行っていたのに、それを袖にするのがまず納得がいかない。実は、我々職員の問題でもあり、橋下市長になって以降は各学部の方向性とか人事に至るまで現場の意見ではなくトップダウンで決まるようになったように感じる。学生だけの問題ではないのです」
杉本キャンパス防犯対策等会議の担当者はこの件について、
「もともと自転車マナーが悪く苦情も多かった。衝突事故も起き、これ以上学生を危険な目に合わせることはできないということです。学長が独断で全面禁止を決めたと批判が出ているようですがそれは間違いで、我々が広く意見を聞いて総合的に判断した結果です」
と説明している。