ダメならすぐに撤退して、次のサービスの開発にトライ!
カヤックは、新たにつくったコンテンツや事業を次から次に他社へ売却してしまう。その理由について、同社は「面白法人は0から1をつくる集団」だから、と説明。「1のモノを100に伸ばすことより、0から1をつくることが得意な企業」なので、「いいものを生み出したら、いい得意先に売り出して、事業を伸ばしてもらう。それが僕らのやり方」という。
たとえば、世界初の声で遊ぶコミュニティ「Koebu」(会員数80万人、2014年)をサイバーエージェントグループに、また日本最大の建築家コミュニティ「HOUSECO」(3500人の建築家、2013年)をタマホームと合弁会社を設立して売却。総務情報サイトの「総務の森」はオフィス通販事業のカウネットに譲渡した。
もちろん、失敗作も数々ある。コンセプトは面白くても、斬新すぎたためにユーザーが集まらなかったり、収益面で苦戦を強いられたりしたために撤退を余儀なくされたサービス。「とにかく数を打つこと。ダメならすぐに撤退して、次のサービスの開発にトライすること。このスピード感がカヤックには重要」なのだそうだ。
株式上場について、CEOの柳澤大輔氏はブログでこう綴る。
「上場するということは一緒にカヤックをつくっていく仲間が増えるということだと考える。そういう風に世界を見ようと思うのです」
株主に対して「カヤックを一緒につくる仲間になってください」と訴え、上場の準備期間を振り返って、「上場するために決められたルールの大半は、『株主という仲間を増やして株式会社として成長し続けたいと思う会社』にとっては本質に適ったものであり、会社を強くするために必要なことばかりだったと認識しています」としている。
上場初日は買い気配のまま値が付かず、午前中は公開価格の560円を70%上回る気配値952円で取引を終了。結局、初値がつかずに引けた。
ちなみに、証券コードは「3904」。柳澤CEOは「社内的には『サンキューオモシロ』と呼んでいる」と明かしている。