サルの「美談」、実は人間の誤解だった? 気絶状態の仲間を救助したように見えたが...

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   感電して意識を失ったサルを仲間のサルが助けようとした「救出劇」がインドで話題だ。日本でもテレビ番組内で紹介されるなどして注目を集めている。

   ところが、この「美談」は人間目線の都合のいい解釈に過ぎない可能性もあるようだ。

上位ザルに「逆転」するチャンスだった?

話題のサルは本当に「救助活動」をした?(画像はイメージ)
話題のサルは本当に「救助活動」をした?(画像はイメージ)

   「奇跡の救出劇」は2014年12月20日、インド北部カンプールの鉄道駅で目撃された。一部始終をとらえた動画を見てみると、最初に一匹のサルがぐったりとしたまま線路の脇に倒れているのが分かる。電線の上を歩いていた際に感電し、意識を失ってしまったらしい。

   そこに仲間のサルが現れると、感電したサルの頭や首に何度も噛みつき、激しく揺すり始めた。それでも目を覚まさないと今度は地面に体を打ち付ける。ついにはサルを線路脇の水路に投げ込むという少々手荒な行動に。するとサルは意識を取り戻し、一命を取り留めた。回復後は助けたサルが背中をさするような姿も見られ、「観客」も温かく見守っていた。

   インドのメディアは、仲間を救ったサルを「ヒーローモンキー」「スーパードクター」などと称賛し、日本のメディアも「仲間が必死の救出劇」「仲間が懸命救助」などと紹介した。動画を見た人たちからは、

「めっちゃ感動」「仲間を気遣う気持ちは人間と変わらない」「凄い雑だけど優しい気持ちに癒やされた」「人間だったらスマホで写真撮ってる奴ばっかりなんだろうな」

といった声が続々とあがり、「美談」「感動話」として反響を呼んでいる。

   ところが、サルが救出したとの捉え方には懐疑的な見方を示す専門家も少なくない。京都大学霊長類研究所の古市剛史教授は22日放送のNHK「ニュースウオッチ9」のインタビューの中で、救出説を次のように否定した。

「噛み付いたり水路に突き落としたら、相手が覚醒するかもしれないということを(サルが)考えるわけがありませんので、おそらくこれは救助ではなくて攻撃だったんだと思います」

   古市教授は、感電したサルは助けたとされるサルにとって「頭の上がらない存在」だったと説明。その上で、相手が身動きのとれない状態だと確認したため「引きずり下ろす千載一遇のチャンス」だと考えて、こうした行動に出たものではないかと分析した。

   労わっているように見えた背中を撫でる行動についても「相手が覚醒してしまったら、昔通りの関係に戻るんですね。相手が身動きの取れない時間帯だけが、一種独特の攻撃行動を誘発する時間帯なんじゃないかなと思います」と語った。

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