コラムで検証記事を取り上げるように依頼したのは朝日新聞側だった
池上氏のコラム不掲載についても、木村氏の意向が強く働いていた。
そもそも、コラムで検証記事を取り上げるように依頼したのは、朝日新聞側だった。コラムは8月29日に掲載予定で、池上氏から原稿が送られてきたのは8月27日午後。担当者は「過ちは潔く謝るべきだ」という見出しをつけた。
当時、検証記事に関する記事は木村氏をはじめとする経営幹部が目を通すことになっており、池上氏のコラムについても木村氏らがゲラに目を通した。
渡辺GEは「掲載することで問題ないと考えていた」が、27日夕方になって「木村が難色を示しており、このままでは掲載できない」として、(1)違うテーマで書き直してもらう(2)掲載するのをやめる(3)見出しをマイルドにする、のいずれにできないかをオピニオン編集部のコラム担当者に打診。これに対して、オピニオン編集部は(1)については、そもそも朝日新聞側から依頼したテーマで、これまで基本的に内容に注文をつけないことでやってきたので難しい、(2)については、
「そのようなことをすれば池上氏はコラムを打切りにさせて下さいと言うに違いなく、そうすると連載打切りは避けられず、非常に不自然な終わり方になってしまう、この場合、週刊誌等に気付かれ池上氏の記事を握りつぶしたとバッシングを受けることになると危惧される上、これまで朝日新聞を信頼して読んでくれている読者が離れてしまう」
と反発。その結果、(3)が採用されることになり、見出しを「訂正遅きに失したのでは」とマイルドに変更した上で杉浦氏が木村氏と話すことになった。だが、その結果も「このままでは掲載できない」となった。