偽のキャッシュカードを送り付け、代わりに本物のカードを郵送させて奪おうとする詐欺未遂事件が全国で相次いでいる。
発覚したのは、いずれも地方銀行名で「セキュリティー対策のため」と偽り、60歳以上の老人を狙っている。地方銀行は2014年12月19日に一斉に「特殊詐欺と思われる事案が発生しております」とホームページ上で注意を呼びかけた。
事前にキャッシュカードを交換する、という電話
香川県警生活安全企画課によると、県内の73歳の女性宅に地方銀行の名前でレターパックが送られてきたのは14年12月16日。一週間ほど前に電話で地方銀行の担当者と名乗る人物からキャッシュカードを交換する、などといった説明を受けていた。レターパックの中には地方銀行名と女性の名前が記入された偽のカード、説明書類、返信用封筒が入っていて、現在の暗証番号と新しい暗証番号を記入し、古くなったカードを送付するよう指示が書かれていた。
送り先の住所は東京都内にあるビルで、その地方銀行名が書かれていた。女性は不審に思い銀行に相談し、銀行員がその女性の家まで出向いたことで詐欺行為であることが分かり、12月17日に警察に届け出た。
「似たような事件は中国四国地方では岡山、愛媛、徳島の各県で起こっていて、カードも書類も同一のものですが、本人の名前と銀行名を書き換えて送付しているようです」
と香川県警は説明した。女性が使っている銀行をなぜ割り出せたのかは不明だが、犯人が事前に電話をした際に確認をしていた可能性があるとも話している。
怪しいレターパックが届いたら相手にせずすぐに相談を
こうした地方銀行を名乗る詐欺行為は全国に広がっている。14年12月中旬には山口県岩国市で80代女性、青森市の60歳代女性、八戸市の70歳代女性が狙われたいう報道が出ている。北海道でも起こっているようで、ある地方銀行では「警察に相談し、捜査に委ねている」と取材に語った。
国民生活センターにも相談が寄せられている。「あなたの個人情報が漏れているからキャッシュカードを交換しなければならない」などといった電話があり、偽のカード入りのレターパックが郵送されてきた、というものだ。国民生活センターの担当者は、
「馴染みが深い地方銀行の名前を出せばお年寄りを騙せるかもしれないと狙っている可能性がある。怪しいレターパックが届いたら相手にせず、すぐに警察やセンターに相談してほしい」
と話している。