ソニーの米映画子会社に対してサイバー攻撃を行った犯人は、日本に意外な関心を寄せている可能性がありそうだ。この犯人はウェブサイトで新たな声明を発表し、声明にはユーチューブの動画へのリンクが張られていた。
声明そのものは米連邦捜査局(FBI)を「褒め殺す」内容だが、動画は一転、FBIを「あんたは馬鹿だ」などと罵っている。その中にはどういうわけか日本語も登場し、10年以上前に日本のネット上で流行ったアスキーアート(AA)も映っている。
声明はソースコード投稿サイトに投稿して発表する
ソニー傘下の映画会社ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)に対する一連のサイバー攻撃を行ったとされるのが、「平和の守護者(guardian of peace、GOP)」を名乗る集団。オバマ大統領はサイバー攻撃に北朝鮮が関与していたと断定し、北朝鮮に対して対抗措置の検討に入った。
GOPは2014年12月16日に、「2001年9月11日を想起せよ。上映場所から離れた方がいい」などとするテロ予告をソースコード投稿サイトに投稿。この影響で、SPEは金正恩第1書記の暗殺をモチーフにしたコメディー映画「ザ・インタビュー」の公開見合わせを決めた。
12月20日に、GOPを名乗る新たなメッセージが投稿された。その内容は、
「FBIの捜査の結果は非常に素晴らしく、我々が行っていたことを自らの目で確かめられたかもしれない。成功を祝福する。FBIは世界最高だ。FBIのプレゼントは以下のアドレスから」
というもの。メッセージの下にはユーチューブのURLが貼られている。米政府が北朝鮮の関与を断定したことを念頭に「成功を祝福」する文面だと言える。だが、リンク先の動画を再生すると一転、FBIを茶化すメッセージが表示される。
動画がアップロードされたのは06年9月
動画の長さは2分強。軽快な音楽とともにスマイルマークが大量に表示され、ひたすら「あんたは馬鹿だ(you are an idiot)」というメッセージが繰り返される。「あんたホントに馬鹿ですネ」という字幕が日本語で読み上げられたり、タモリさんに似たサングラスの男性が踊ったりもしている。02~03年頃、2ちゃんねるで流行した「さいたま」と呼ばれるAAも映っている。
ただ、この動画がアップロードされたのは06年9月。今回の犯行声明のためにGOPが新たに動画を作成したのではなく、自らが伝えたいメッセージが含まれている動画を探して拡散した、というのが実際のところのようだ。