「患者を救う大革命」起きるのか 医療ビッグデータめぐりフォーラム

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   「医療ビッグデータその可能性と課題」と題したフォーラムが2014年12月12日、東京で開かれた。科学技術ジャーナリスト会議の創立20周年を記念、友好団体の日本医学ジャーナリスト協会と合同で開いた試み。

   医療ビッグデータは情報通信技術の発達で蓄積された電子カルテや診療報酬明細書 (レセプト) などの大規模データで、その活用が医療政策担当者や医療関係者の関心を集めている。

赤ちゃんの心拍データから感染症の兆候発見

   講師はNHKディレクターの阿部博史さんと京都大学大学院教授の今中雄一さん。

   阿部さんは11月2日に放送されたNHKスペシャル「医療ビッグデータ患者を救う大革命」を担当、データをわかりやすい映像にしようと挑戦している。活用例の代表として、米国では1000人の赤ちゃんの刻々の心拍数データをコンピュータ処理し、その後に発病したデータから感染症の早期の兆候を見つけた。日本で積極的に取り組む済生会熊本病院では、年間109万回のナースコールデータから男性、80代のコールが多いことや、部屋割りの適正さなどが浮かび上がった。

   今中さんは1995年度から有力病院の診療データから医療の質を評価する試みを始め、保険レセプトや医療費包括払い病院データを活用している。現実には同じ地域にある病院の治療成績の差は想像以上に大きく、医療の質は設備や医師を集中したほうが高まる。今中さんはこうしたデータの公表が望ましいと思いながら、重症者を断れば治療成績はよくなるなど、メディアが興味本位にランキング公表した場合のマイナス効果も憂慮する。

   医療ビッグデータは医療をよくする可能性を秘めているものの、活用はまだまだこれからというところ。個々のデータの背後のプライバシーの保護が十分かどうか、なども参加者との討論のテーマになった。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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