「9条にノーベル賞を」署名活動の韓国人識者 暗殺者安重根の思想を受け継ぐ、とサイトで言明

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   日本国憲法9条をノーベル平和賞に推そうと、韓国の識者らも署名活動を始めると明らかにしたが、そのサイト上で、「安重根の思想を受け継ぐ」とうたっていることが分かった。安重根は、日本の初代首相の伊藤博文を暗殺したことで知られるだけに、今後波紋が広がる可能性もある。

   署名活動は、神奈川県座間市在住の主婦(38)のアイデアを元にして2013年に始まり、報道によると、これまでに約40万人の署名を集めた。

「安倍首相が改憲するのをけん制する狙い」

韓国語でも署名が行われている
韓国語でも署名が行われている

   韓国語でもすでに署名が行われており、「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会は14年12月9日、韓国・江原道などが主催する「非武装地帯(DMZ)平和賞」の特別賞を受賞するまでになった。

   そんな中で、韓国の識者らが18日、ソウルで会見し、実行委の韓国委員会として、15年度の平和賞受賞を目指すと宣言した。韓国委では、李洪九(イ・ホング)元首相が座長になり、韓国の元国会議長や元最高裁長官、学者、宗教家、文化人ら約50人が名を連ねている。

   韓国の大手紙「中央日報」などによると、鳩山由紀夫、村山富市両元首相、小沢一郎生活の党代表らと議論する中で、署名活動を始めることにしたという。

   報道によると、韓国でも署名活動を始めるのには、安倍晋三首相が改憲しようとしているのをけん制する狙いがある。会見では、安倍内閣の解釈改憲で9条が危機に晒されているとして、「朝鮮半島や東アジアの平和も脅かされる」と訴えた。さらに、日本の活動と連帯することになれば、「韓日関係を解きほぐす原動力にもなる」とも主張している。

   ノーベル賞を巡っては、韓国人の受賞者は、平和賞の故・金大中元大統領1人だけで、日本人が受賞するたびに韓国メディアが自国と比較するほどになっている。それだけに、韓国の識者らが日本の活動に協力するのは異例のことだ。

   とはいえ、日本へのわだかまりが消えた、ということではないらしい。

「安重根の思想が平和憲法への流れになった」

   韓国委員会のサイトでは、なんと日本の初代首相を暗殺した安重根の思想を受け継ぐと言明していたからだ。

   その12月18日付の記事を見ると、署名活動の背景と経過の報告文は、次のように書かれているとあった。

「かつて1世紀前に、欧米帝国主義勢力の東アジア侵略に対抗するために、韓国、日本、中国の和解と協力をテーマに、安重根先生が示された東洋平和の思想、そして、東アジアと人類の平和、自尊心を前面に出した三・一運動の精神を私たちは受け継いだ。難しい韓日関係に真の親善と友情の橋を架けるために、日本国憲法9条のノーベル平和賞を推す署名活動に参加する」

   そのうえで、記事では、「安重根先生の東洋平和の思想と三・一運動の精神が、日本の平和憲法のような思想の流れの上にある」ということも報告文で明確にしたとつづっている。

   韓国では、日本とは違って、安重根を英雄だととらえている。

   韓国の通信社「聯合ニュース」の記事によると、韓国の映画製作会社は12月16日、安重根が伊藤博文を暗殺して処刑されるまでを描く映画「英雄・安重根」を作ると発表した。発表会で、韓国人の監督は、安重根がなぜ伊藤博文を襲撃したかを明確に描くとして、「極右勢力を率いる安倍首相は、安重根の弾丸を忘れてはならない」と語ったという。

   映画の製作には、社団法人「安重根平和財団青年アカデミー」が支援することになっている。

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