「双方にそれなりの非があったのではないか」
2ちゃんねるなどでも、「器物損壊だから当て逃げじゃないの?」「事故起こしたら先ずは停まって警察やろ」と、タクシー運転手の行動を疑問視する声が出た。
一方、ブログでは、犬が車道上に出ていたとも読めることから、「飼い犬が轢かれる状況は普通に考えていたらリード付けてませんよ」「急に飛び出してきたとかだったら運転手に同情するわ」といった指摘が出た。また、たとえ飼い主がリードを付けていたとしても、犬を車道側に歩かせていたのではないか、という疑問が出ており、飼い主側の責任を問う声も上がっている。
ブログ内容について、大渕愛子弁護士は、取材に応じ、今回のケースは、運転手が逃げるつもりだったと言い切る材料がなく、当て逃げといった犯罪と言うことはできないと説明する。しかし、他人の物を壊すことになるので、民法上の不法行為には当たり、犬の治療費などを保険で支払わなければならないと言う。
飼い主が犬にリードを付けていたかどうかについては、レコーダーなどではよく見えなったという。車がいっぱいいっぱいに通る狭い道だったため、たとえリードを付けていたとしても、犬が車道側を歩いた飼い主の責任を問うのは難しいとした。
「運転手は、徐行しなければいけないのに、スピードを出し過ぎており、前方不注意でもありました。一方で、飼い主も、犬を連れて車道のはじっこに寄れたかもしれません。今回は、双方にそれなりの非があったのではないかとも思います」
ただ、大渕弁護士は、「本来なら、運転手はその場で止まって警察を呼び、どちらが悪いのか確認すべきでした。そうできなくても、飼い主に『お客がいるので、後から来る』と言ってほしかったです」としている。
板倉宏日大名誉教授(刑法)は、飼い主にも過失がある可能性があり、その場合は賠償額にも影響が出ると指摘した。もし犬を轢いたことで大事故などになれば、飼い主の責任も重くなるという。