タイから中国に向かっていた格安航空会社(LCC)機内で中国人客らが客室乗務員(CA)にカップ麺のお湯をかけた問題は、中国国内からも大きな批判を浴びた。ただ、中国の国内線では非常ドアを勝手に開けたり、緊急脱出用の滑り台を作動させたりと、日本の国内線では考えられないようなことが次々に起きている。
驚くべきことに、トラブルを起こした乗客は自らの行為が禁止されているとは知らなかったと釈明している。仮にこの言い分が正しいとすれば、中国国内で所得が増えて飛行機に乗れる人が増える反面、飛行機に乗るための常識を身につける教育が追いついていないとも言えそうだ。
滑り台の取り換えで2時間遅れ、190万円かかる
新華社通信によると、2014年12月8日夜、中国東方航空の西安発海南島の三亜行MU2331便で乗客によるトラブルが起きた。三亜空港着陸後、CAが乗客を降ろす準備をしていたところ、「3R」と呼ばれる機体右側、翼のすぐ後方にあるドア付近から何かが膨らむような音がしたという。この時点で乗客は非常ドアのハンドルを回そうとしており、CAが阻止しようとしたが間に合わずに滑り台が開いてしまった。けが人はいなかった。
乗客は当局の事情聴取に対して、
「早く飛行機から降りたかった」
「CAによる安全の注意をきちんと聞いておらず、ドアが非常用だとは知らなかった」
などと話したという。
折り返し便は滑り台の交換作業のために約1時間50分遅れ、取り換えに10万元(約190万円)かかったという。
12月14日にも、非常ドアをめぐるトラブルが起きた。広州の南方都市報によると、杭州発成都行の廈門航空MF8453便で、離陸前に50代の男性客が非常ドアを開けた。異変に気づいたCAが駆けつけると、男性客は落ち着いた様子で席に座ったままだった。非常ドアを開けた理由を聞くと「空気を入れ替えたかった」などと話した。
男性は別の座席に移され、飛行機はドアを閉めて定刻に出発。男性は経由地の長沙空港で降りていったという。航空会社は、
「初めての飛行機旅行だったようだ。遅れや、そのほかの直接的な損害は航空会社にはなかった」
として、特段の賠償は求めない方針だ。
いずれのケースも、乗客の奇行が写真つきでソーシャルメディアに拡散したのが特徴だ。ネット上では「他の乗客を危険にさらしたのだから罰金を取るべきだ」といった声が相次いだ。