吉田調書記事「見出しも正しく、中身間違っていない」 弁護士グループ、「記事取り消し」「記者処分」取り消し求める

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   東京電力福島第1原子力発電所の事故をめぐる「吉田調書」の誤報で、朝日新聞社が記事を出稿したデスクを停職2週間、記者2人を2014年12月5日付けで減給処分にした。

   これに対し、中島武敏弁護士、海渡雄一弁護士ら7人が12月16日「吉田調書」記事取り消しや、記者に対する処分を取り消すように求める声明を発表した。

声明では「わずか3名でのPRCの見解こそ『公正さ』を欠く」と主張

「吉田調書」紙面を手に記者の処分撤回を求める学者やジャーナリスト。左から早大教授の花田達朗氏、ジャーナリストの鎌田慧氏、弁護士の海渡雄一氏
「吉田調書」紙面を手に記者の処分撤回を求める学者やジャーナリスト。左から早大教授の花田達朗氏、ジャーナリストの鎌田慧氏、弁護士の海渡雄一氏

   弁護士グループは9月26日に「記事が外形的事実において大枠で一致している」などとして記者への処分を見送るように求める申し入れ書を朝日新聞社と同社の「報道と人権委員会」(PRC)に提出している。PRCの見解をもとに記者の処分が決まり、申し入れ書には弁護士200人が賛同していたことから、今回の声明では

「200名からの法律家は誤報ではなく処分は不当だと判断している。わずか3名でのPRCの見解こそ『公正さ』を欠くものである」

などと主張した。

   海渡氏らは14年12月16日に東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見し、

「私個人としては、(『所長命令に違反 原発撤退』という)見出しそのものも正しいし、記事の中身にも間違っている点はないと思う。ただ、1点誤解を招く可能性があるとすれば、『すべての作業員に命令が行き渡っていたにもかかわらず、650名はその命令に故意に違反して撤退した』という事実はないと思う。しかし、吉田さんの直属の部下で、その命令を聞きながら、それに反した行動を取った者はいたはず」

と主張。柏崎刈羽原発に残されていたテレビ会議の記録や、吉田氏が原子力安全・保安院(当時)に送ったファクスの内容などを、その根拠にしている。

   ジャーナリストの鎌田慧氏も

「事実関係では誤報ではまったくない。というのも、あの混乱の中でコントロールができなくて、所長の意志に反して労働者9割が10キロ離れた第2原発に行っていた。それを所長が後から『それで良かった』と追認している。つまり、最高責任者が把握していない事実があった。『所長のコントロールから離れていた』というのが事実」

と話した。

   海渡氏と鎌田氏は、原発事故以前から長年にわたって反原発活動を展開してきたことで知られている。

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