新たな成長戦略を迫られる
この誤算は総選挙で安倍首相も認めるところだった。これまでのアベノミクスは「加工貿易の輸出立国」だったかつての日本経済の成功モデルを引きずっており、「アベノミクスはグローバル化に対応した経済構造の調整やビジネスモデルの転換が不十分であることを示している」(日本総研の山田久調査部長)という。
現代の日本は輸出や公共事業で経済が成長する旧来のモデルから脱却し、海外生産を前提に国内へ利益を還流する新たな成長戦略を示すことが求められている。トヨタ自動車やホンダなど日本の自動車メーカーは国内で次世代車を開発・設計し、最先端のマザー工場は国内に残すものの、消費地に近い海外で現地生産し、利益を上げるビジネスモデルを構築している。安倍政権が目指す成長戦略も輸出主導からの転換が求められている。
経営コンサルタントの冨山和彦氏は「日本のグローバル企業は錦織圭君のようになればよい。海外で勝って、お金が日本国内の錦織君の銀行口座に貯まることが大切。必ずしも日本にいる必要はない」「日本経済にはグローバル経済圏とローカル経済圏の二つがあり、それぞれにあった成長戦略が必要だ」と主張している。