連載・世襲政治に未来はあるのか(4)
日本人は世襲が好き リーダーに能力求めない文化がある 作家・評論家の八幡和郎さんに聞く

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特別な才能がなくてもスキル身につく職業に世襲多い

―― 政治家以外にも世襲が多い職業はあります。政治家とそれ以外の職業で共通点はありますか。

八幡:歌舞伎役者は世襲できますが、オペラ歌手は基本的にはできない。これは、一般的な能力があれば、特別な才能がなくても歌舞伎役者になれることを示しています。日本の政治家にも難しいことはさせないので、後を継ぐためには「見よう見まね」でも何とかなる。そもそも要求水準が低い。
   江戸時代は学者や芸術者、スポーツまで世襲でした。お茶やお花の家元も同様で、こういった職業に特別な才能が必要ならば、そもそも家元の制度は成立しません。「特別な才能」は求められていません。
   3つ目は政党機能の不全です。本来であれば候補者を決めるのは政党の役割ですが、日本では個人後援会と政党がごっちゃになっている。例えば小渕恵三元首相の後援会が持っていた現金や職員は、本来ならば恵三氏の死去後、いったんは自民党本部のものにならなければならない。後援会の資金を親族が相続するのはおかしいし、秘書も自民党の職員でないとおかしい。ところが、実際は優子氏の個人後援会の資金や秘書として引き継がれている。

―― どうして党本部主導で恵三氏の後継候補者を決めることができないのでしょうか。

八幡:旧小渕恵三後援会の人からすると、秘書や資金がバラバラにならない形で「一括継承」してもらえるかが一番重要です。そのためには、組織が分裂するリスクを考えると、子どもを後継に立てるのが一番まとまりやすい。そうなると、「世襲しかない」となるわけです。
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