衆院選(2014年12月2日公示、14日投開票)の与党の優勢が伝えられる中、新聞各紙が選挙戦終盤の情勢調査の結果を伝えている。序盤~中盤では民主党の幹部クラスの苦戦が相次いで伝えられていたが、終盤でも非常にきわどい戦いが続いている。
特に民主党の枝野幸男幹事長が出馬している埼玉5区など、世論調査のデータを共有している新聞社同士でも判断が分かれるケースもあり、予断を許さない状況だ。
海江田氏、中盤から若干盛り返す?
12月11日と12日にかけて、朝日新聞、日経新聞、読売新聞が調査結果を掲載。3社とも自民単独で300議席以上を獲得し、与党で3分の2を超す勢いだという点では共通しているが、いわゆる「注目選挙区」の評価が微妙に割れている。
日経、読売は12月9日から11日にかけて行われた世論調査の基礎データを共有し、集計、分析、記事執筆を両社が別々に行った。朝日新聞の調査は12月6~9日にかけて行われた。
選挙区別の情勢調査では、例えば「A氏とB氏が競っている」という表現の場合、一般的には先に名前が登場するA氏の方がリードしているとされる。
民主党の海江田万里代表が出馬している東京1区では、各紙の中盤の調査では自民党の山田美樹氏が先行しているというニュアンスを伝えていた。ところが、今回の調査では、中盤調査で海江田氏劣勢を伝えていた日経は「差が縮まる」と表現し、残り2紙は
「海江田と山田、激戦」(朝日)
「山田・海江田 伯仲」(読売)
と伝えている。全体としては海江田氏が若干盛り返したようにも読める。
世論調査の基礎データを共有する日経・読売で判断割れる
枝野幹事長が出馬している埼玉5区には自民党が大物を続々と応援に送り込み、海江田氏が「嫌がらせ」と不快感を示すほどの激戦区だ。終盤情勢は以下のように伝えられており、データを共有している日経と読売の判断が割れている。
「枝野が一歩リード」(朝日)
「枝野、牧原に後れ」(日経)
「牧原、枝野 競り合い」(読売)
東京18区の菅直人元首相は、中盤では自民党の土屋正忠氏にリードを許していた。日経は中盤調査と変わらず自民が優勢だと伝えているが、残り2紙は、
「菅・土屋、伯仲」(朝日)
「土屋と菅が接戦」(読売)
と伝えた。菅氏にも小選挙区当選の可能性が出てきたようだ。
渡辺喜美氏はまったく劣勢を跳ね返せず
解党したみんなの党の元幹部の状況には、大きな変化はない。江田憲司氏(神奈川8区)や、解党時の代表だった浅尾慶一郎氏(神奈川4区)については、引き続きリードしていると各社はみている。ただ、浅尾氏は、
「浅尾と山本、競り合う」(朝日)
と報じられており、差が縮まっているようにも読める。
「創業者」の渡辺喜美氏については、
「簗を渡辺喜が追う」(朝日)
「簗が渡辺を突き放し、一歩抜け出た」(日経)
「渡辺、無党派支持伸びず」(読売)
といった具合で、まったく劣勢を跳ね返せていない。
かつては「小沢王国」と呼ばれた岩手4区では、中盤では小沢一郎氏の苦戦が伝えられていた。だが、今回は各紙がそろって小沢氏の名前を先に出している。ここ1週間程度で「どぶ板」が奏功し、ある程度復調したようだ。
「小沢、藤原と大接戦」(日経)
「小沢に藤原が迫る」(朝日)
「小沢・藤原 並ぶ」(読売)