候補者の世襲率がダントツで高いのは自民党
今回の衆院選でも、新規参入へのハードルは高い。時事通信のまとめによると、立候補者1191人のうち、新人は全体の50.7%にあたる604人。12年の総選挙と比べて12.7ポイントも下がっている。
また、多少複雑だが「父母、義父母、祖父母のいずれかが国会議員、または三親等内の親族に国会議員がいて同一選挙区から出馬した候補」を「世襲候補」と定義した場合、今回の選挙では全体の11.2%にあたる133人が世襲だ。世襲候補者数は05年の郵政選挙と09年の選挙が156人で、12年が145人だ。人数だけ見ると世襲が減っているように見えるが、12年選挙では今回の約1.3倍の1504人が立候補している。候補者が大幅に減ったことを考えると、実は「世襲率」は今回の方が高い。また、今回の衆院選の世襲候補を政党別にみると、ダントツに多いのが自民党の91人で、68.4%を占めている。
急な解散で与野党ともに「新顔」を発掘する余裕がなかったことが背景にあるとみられる。
世界を見回してみても、日本ほど国会議員の世襲率が高い国は珍しい。例えば日本が議会制度のお手本にした英国では、かつては上院(貴族院)議員の大半を世襲貴族が占めていたが、97年の労働党のブレア政権発足をきっかけに、99年に大幅な制度改革が行われた。その結果、世襲貴族の議席は約90に制限され、774議席の大半が「一代貴族」だ。一方、下院(庶民院)では、自分が当選しやすい選挙区を選んで立候補する「落下傘候補」が多く、「国替え」も頻繁に行われる。そのため、地盤を引き継ぐという文化がなく、世襲はほとんどないとされている。