生保「仁義なき戦い」熾烈に 日生vs第一、抜かれたら抜き返す

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   生命保険業界の2014年9月中間連結決算で「異変」が起きた。売上高に当たる保険料等収入で、最大手の日本生命保険が第一生命保険に初めて首位を明け渡したのだ。

   日本生命は総資産や利益では依然、他社を圧倒しているが、戦後ほぼ一貫して守ってきた売上高のトップ陥落は到底容認できない事態。2014年3月期通期の決算に向けて総力を挙げて首位を奪還する構えで、両社の攻防が激化しそうだ。

外貨建て個人年金保険が伸びる

日本生命「非常に看過できない状況」(画像は第一生命のホームページ)
日本生命「非常に看過できない状況」(画像は第一生命のホームページ)

   「日本最大であることにこだわっている当社としては、非常に看過できない状況だ」。日本生命の児島一裕取締役常務執行役員は11月28日の9月中間決算発表会見で、悔しさを隠さなかった。第一生命の保険料等収入は前年同期比22.1%増の2兆5869億円。日本生命も2兆4682億円と同4.0%増やしたものの、2ケタ増の第一生命には及ばなかった。

   第一生命が保険料等収入を大きく伸ばした要因は、銀行窓口を通じて販売した外貨建て個人年金保険の売れ行きが好調だったことだ。日銀の「異次元緩和」により超低金利が続く中、円預金より利回りが高い点が人気を集め、銀行窓口販売向けの商品を扱う子会社「第一フロンティア生命保険」の保険料等収入が同6割増と急伸した。

   第一生命は今年6月に発表した米プロテクティブ生命の買収を近く完了させる予定で、2015年度以降は米プロテクティブ生命の保険料等収入もフルに加算される。相互会社から株式会社へ転換し、機動的に資金調達できる強みを生かし、今後も米国などで買収を重ねる方針。人口減少で国内市場が縮む中、海外事業の拡大は第一生命の「安定的首位」確立に向けて大きな武器になりそうだ。

収益力や資産規模では日生が強い

   こうした事態について、日本生命の児島氏は「低金利の中でお客様のニーズが相当変化している。銀行窓口販売の差が大きな結果の違いになっている」と敗因を分析し、銀行窓口販売向け商品の品ぞろえを強化する考えを示した。さらに海外保険会社の買収についても、過度なリスクをとらず一部出資にとどめていた従来方針を転換。経営権を取得する「マジョリティ(過半出資)も含めてチャンスをつかみたい」と述べ、第一生命への対抗心をあらわにした。

   生保業界では「日本生命はプライドをかけて年間首位を死守するだろう」(大手生保幹部)との見方が大勢だ。日本生命は過去にも、明治安田生命に第3四半期決算まで保険料等収入で抜かれながら、第4四半期で猛烈に巻き返し、年度を通じての首位を守り抜いたことがある。生保各社は「業界の『ガリバー』の日本生命を怒らせると怖い」(別の生保幹部)と下期の反撃を注視している。

   売上高で首位を陥落したとはいえ、収益力や資産規模では日本生命の優位は変わらない。9月中間連結決算でも、本業のもうけを示す基礎利益は日本生命が3221億円と、第一生命の2273億円を1000億円近く上回っている。日本生命が売上高でも首位に返り咲き、最大手の座を不動のものにできるのか。来年3月末までギリギリの攻防が繰り広げられそうだ。

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