アップルが「SIMロックフリー版」のiPhone 6とiPhone 6 Plusの国内販売を停止。インターネットなどでは、いつ販売が再開されるのか、このまま販売が中止されるのではないか、と話題になっている。
iPhone 6と6 Plusは2014年9月に発売。11月には為替レートの変動に対応して、値上げしていた。
外国人旅行者にとって、日本は安く買える?
アップルが、SIMロックフリー版のiPhone 6と6 Plusの国内販売を停止したのは、2014年12月9日のこと。発売からわずか3か月。しかも突然の販売停止で、現在は東京・銀座や渋谷などのアップルストアでも、同社のオンラインストアでも買えなくなっている。
アップル・ジャパンは「販売を停止していることは間違いありません」と認めている。
9月に発売された新型スマートフォンのiPhone 6と6 Plusは、当初からSIMロックが解除されている、いわゆる「SIMフリー版」を選べることが話題になっていた。
現在、販売が停止されているのは、日本国内で販売するSIMフリー版のみ。SIMフリー版は、端末の本体価格が割高な半面、ユーザーはSIMカードを差し替えるだけで複数の端末を使い分けたり、安い料金プランの通信キャリアに気軽に乗り換えられたりできるメリットが見込める。また、海外旅行時には高価なローミングに頼らず、現地の安い通信キャリアのSIMカードが利用できる利点がある。
アップルもホームページで、「複数年のサービス契約を結びたくない場合や、海外で地元の通信事業者を使いたい場合は、SIMフリーのiPhoneを選ぶことをおすすめします」としている。
一方で、こうした利点はiPhoneを使っている外国人にとっても魅力。最近の円安傾向から、日本国内で販売しているSIMフリー版の iPhone6を海外からわざわざ買いに来る外国人も少なくないらしい。
たとえば、中国では10月17日にiPhone 6と6 Plusが発売された。しかし、日本国内でiPhone 6(16GB)は6万7800円で購入できたが、中国で同じモデルを購入すると5288元(約9万3600円)もかかる。中国では日本の約30%も割高。これを12月11日の為替レートで換算すると、日本円で9万9800円とさらに差が広がっているのだ。
円安は米ドルやユーロも同様。発売当初の9月から、円はいずれの通貨とも10円も円安に振れている。
それもあって、インターネットなどでは、
「急速な円安のためだろう。値上げの準備だな」
「このまま販売停止になんてならないよな」
などといった憶測が流れている。
販売停止の理由について、アップル・ジャパンは「コメントは控えたい」と、口を閉ざしている。
円安の影響も、それほど大きな影響はないかも・・・
とはいえ、「円安値上げ説」は、あながち的外れとは言えないかもしれない。それはアップルがこれまでも為替レートの変動に応じて製品価格を改定しているからだ。
最近では、2014年11月14日にiPhone 6 とiPhone 6 Plusの価格を改定。iPhone 6の16GBモデルを6万7800円から7万5800円に、64GBモデルを7万9800円から8万7800円に、128GBモデルを8万9900円から9万9800円(いずれも、税別)と、従来から8000円~1万円値上げした。
また、6 Plusの価格も、16GBモデルが8万7800円、64GBモデルが9万9800円、128GBモデルが11万1800円と、8000円から1万2000円値上げ。さらに、SIMロックフリー版iPhone 5sも、16GBモデルが6万4800円、32GBモデルが7万800円と、7000~8000円値上げ。このときの値上げは、円安の影響を受けた価格改定とされる。
クリスマス商戦の活況を前に、アップルにとってはなんとも「お寒い」状況だが、日本ではまだSIMフリーのスマートフォンを使う人はそれほど多くない。iPhoneユーザーも、その多くがNTTドコモ、ソフトバンク、auの通信キャリアから購入している。
そもそも、日本でSIMフリーの端末を使いこなしている人は、頻繁に海外へ出かける機会がある人や、ごく一部の「上級者」に限られているとの指摘もある。
アップルにとって、iPhone 6 と6 Plusの販売停止の措置も、SIMフリー版に限定すれば、売り上げについてはそれほど大きな影響はないのかもしれない。