渋谷区議会(定数34)が、区議によるナチスドイツをめぐる発言で揺れている。ドイツの連邦議会を視察した区議が、現地のセキュリティーチェックの様子を「ナチスのガス室のようだった」と表現したためだ。
議長も発言が不適切だったとして、発言が出た会合を招集した責任者として陳謝したが、発言をした議員本人は公の場では謝罪をしないまま。共産党は、発言が不適切だったとして謝罪を求める動議を提出したが反対多数で否決。逆に、動議を出した共産党議員に対して厳重注意を求める動議が出され、賛成多数で可決された。議長が陳謝したとはいえ、議会として「ナチス」発言を容認したともとられかねない状況だ。
申請ミスで議場に入れなかったのは「ゲルマン民族の頑固さ」のせい
視察は、老朽化が進んでいる総合庁舎建て替えの参考にするために行われた。議員4人に職員4人が随行し、2014年9月3~10日の8日間の日程でロンドン、ブリュッセル、ベルリンの議事堂を視察。約700万円かかった。
視察の様子は、11月17日に区議全員を集めて行われた「協議会」で報告されたが、その際の発言が問題視された。視察に参加した佐々木弘明議員(無所属渋谷)が、ベルリンの連邦議会の建物に入る際のセキュリティーチェックの様子を「ナチスのガス室のようだった」と表現。加えて、議場内を見学するためには3か月前までに申請する必要があるが、申請が間に合わず議場内の見学ができなかったことが明らかにされた。単なる事務処理ミスが原因だが、佐々木氏は「ゲルマン民族の頑固さ」が原因だと説明した。
佐々木氏としては、セキュリティーチェックの際、大勢が小さな部屋に一度に入る様子をコミカルに表現するつもりだったようだが、発言の直後から批判が相次いでいた。
東京新聞によると、佐々木氏は協議会後に取材に対して「不適切だった。取り消します」などと述べたとされるが、公の場で発言を撤回・謝罪すべきだという声が相次いでいた。