2014年12月14日の衆院選投開票に向け、候補者とその応援は街頭演説に熱心だ。インターネット上には、閣僚経験者や党幹部など「有名人」の演説写真がいくつも投稿されている。
ところがその中には大物であるにもかかわらず、閑古鳥が鳴いている写真もちらほら。大勢の聴衆が集まった安倍晋三首相(60)の演説風景と比較し、閑散ぶりを指摘するサイトもある。
民主中野区議が反論「設営を始めたばかりのタイミングの写真」
「閑散演説」として注目された1人が民主党の長妻昭元厚生労働相(54)だ。東京7区の選出で、自転車で回って区民と会話するなど積極的な活動を続けている。7日には中野駅北口で演説を行ったのだが、この場に居合わせたというツイッターユーザーが「中野駅前で長妻が街宣始めたけど今んとこ人全然居ないな」として、聴衆がまばらな演説風景を投稿した。
画像は、同じ中野駅前で松本文明氏の応援演説を行った安倍首相の写真と比較する形で「保守速報」など一部まとめサイトに取り上げられた。安倍首相はこの時「5000人もの人が集まってくれました」と報告しており、写真だけ見ても溢れんばかりの聴衆が押し寄せていることが分かる。そのため比較を見た人たちからは「とても同じ場所とは思えない差」「聴衆よりスタッフの方が多いな」といった声があがった。
これに民主党の森隆之中野区議会議員が異議を唱えた。9日、ツイッターで「どう見ても設営を始めたばかりのタイミングの写真」だと指摘した。その上で演説を始めた後の写真を投稿。多くの聴衆が足を止めて聞き入っている様子が写っており、これは長妻氏も自身のアカウントでリツイートしている。
森区議は、動員や大々的な告知があった上での首相応援演説と候補者本人の街頭演説を比べること自体が無意味だとする意見に「安倍総理のときの聴衆の数がすごかったのは事実ですけど、比べる対象が全然違いますよね」とも返している。
枝野氏の「一人カラオケ」写真は不自然?
同じく拡散しているのが、民主党幹事長として全国の候補者の応援に奔走している埼玉5区選出の枝野幸男氏(50)だ。ツイッター上では6日ごろから、広場に立つ枝野氏の写真が話題となった。聴衆は1人もおらず、SPと思われる男性1人が隣りに付いているのみという何とも物悲しい写真だ。「一人カラオケ」「ぼっち演説」などとネタにされ、長妻氏と同様、安倍首相のものと比較されている。
画像の詳細は明らかにされていなかったが、調べてみると、さいたま市の土呂駅西口前の広場で撮影されたものということが分かった。土呂駅は宇都宮線(JR東北本線)で大宮駅から1駅。地元の人たちはすぐに気付いたようで、ツイッターでも指摘が相次いだ。同時に写真の不自然さを指摘する声も少なくない。聴衆が1人も写っていないのは時間帯やアングルが関係しているのではないか、というのだ。
「うちの地元の土呂駅なんだけどな、奥の薬屋シャッターしまってるし、東武ストア前の自転車置き場に空きが目立つから、早朝とかなんじゃないかな」
「あのアングルはステラタウン行きのバス停に並んでる人が意図的に写らないように撮ってるんじゃないかい?そうそう駅前広場に誰もいない時間帯があるような場所じゃないよ」
インターネット上では枝野氏が他の場所で行った演説の様子も複数見つかるが、いずれも一定数の聴衆が足を止めて聞き入っている。
同じく「聴衆ゼロ」写真が拡散した東京18区の菅直人元首相(68)も別の演説時には「足を止めて話を聞く聴衆は20人弱」「聴衆40人ほど」といった報告がツイッターに上っている。菅氏もまた長妻氏や枝野氏と同様に、人がほとんどいない状態を切り取られ、「大げさ」に受け取られてしまった可能性がある。
ただし、菅氏に対しては、
「通行人の中には、珍しそうにスマートフォンなどで写真を撮る人もいたが、演説を聞く人も握手を求める聴衆もまばら」(12月3日夕刊フジ)
「菅氏に握手を求めてくる人の姿は数えるほどで、多くが見向きもせずにスルーする状況だ」(11月27日スポニチアネックス)
などと厳しい状況を伝える報道もあった。