連載・世襲政治に未来はあるのか(1) 
群馬すごすぎる!「江戸時代のよう」 衆参7議席+比例に、「世襲」が8人

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   国会議員を「姫」と呼んで「家老」が持ち上げる――。政治資金問題では、こんな関係がクローズアップされたが、それは「群馬」という地域の政治文化そのものだった。

   JR高崎駅から北へバスで30分ほど、農村地帯の中でJAなどの施設や住宅が集まる一角に、小渕優子氏(40)の選挙事務所があった。こぢんまりとしたプレハブ造りの建物だ。すぐ隣には、小渕氏が出馬した衆院選・群馬5区では最も大きい、JAはぐくみ群馬支店の建物が見えた。

小渕優子氏が農家保護に熱心なのは、父親譲り?

東京育ちの小渕氏、地元ではドブ板?
東京育ちの小渕氏、地元ではドブ板?

   「敷地は、JAに借りていますよ。小渕の一番の支援者ですからね」。元群馬県議の平田英勝選対幹事長は、こう説明した。

   小渕氏の資金管理団体が購入したことの分かった特産のこんにゃくやねぎも、選挙区内のJAで取り扱っている。首相に上り詰めた父親の故・恵三氏は、かつて自民党のこんにゃく対策議員懇談会の代表を務めており、農家の保護には熱心だった。こんにゃくに今でも高い関税がかけられているのも、恵三氏ら群馬選出の首相4人を始めとした地元有力者の力添えがあるからだともされる。

   今回、特産の物品などを買って県内外の関係者らに配ったのは、根拠はないものの、小渕家が代々やってきたことではないのかとの指摘がある。

   いわば世襲の中で、恒例行事として何の疑問も持たれずに続けられてきた可能性があるわけだ。

   政治資金を握っていたのは、「家老」とも呼ばれた秘書だった。「姫」こと小渕氏は、東京生まれの東京育ちで、父親の選挙の手伝いはしたことがあったものの、地元のことは任せっきりで本当に知らなかったのかもしれない。ネットなどの意見を見ると、こうしたことは世襲の弊害ではないかとみる向きが多い。

   小渕家は、衆院議員だった故・光平氏から3代続く政治家ファミリーだ。北関東にあって農村地帯も広がる群馬県は、このような世襲政治家の割合が突出している。

首相経験者では、故・福田赳夫、康夫、そして中曽根康弘

   解散前の時点で、群馬は衆参7議席しかないが、世襲が6人おり、比例代表を含めると8人もいるのだ。ネット上では、「群馬凄い。江戸時代の幕藩体制みたい」と驚きの声が漏れている。

   首相経験者では、故・福田赳夫、康夫の両氏を生んだ福田家がある。康夫氏(78)は現役を引退したが、長男の達夫氏(47)は、群馬4区から前回衆院選で初当選し、2期目を目指す。

   中曽根康弘元首相(96)の長男の弘文氏(69)は、群馬県選挙区の参院議員5期目になる。長男の康隆氏(32)は、弘文氏の秘書をしているが、群馬1区で出馬の動きを一時見せた。

   この群馬1区で9期目を目指す佐田玄一郎氏(61)は、祖父が参院議員を務めた故・一郎氏だ。

   群馬3区で2期目を目指す笹川博義氏(48)は、祖父が大阪で衆院議員も務めた日本船舶振興会創設者の故・良一氏、父親が自民党総務会長などを務めて現役を引退した堯氏(79)になる。

   群馬県選挙区の参院議員4期目の山本一太氏(56)は、父親が同じ参院議員で海部内閣の農水相も務めた故・富雄氏だった。

   群馬選出ではないが、比例代表の参院議員1期目の羽生田俊氏(66)は、父親が地元選出の衆院議員を務めた故・進氏だ。自民党以外では、前回は旧日本維新の会から群馬1区で出馬・落選、比例代表で復活当選し、今回は1区で無所属から2期目を目指す上野宏史氏(43)は、義父が参院議員を務めた公成氏(75)になる。

   このほか、当選経験はないものの、衆院選比例代表(北関東)に自民党から出馬した尾身朝子氏(53)は、父親が第1次安倍内閣の財務相などを務めて衆院議員を引退した幸次氏(81)だった。

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