牛丼チェーンの「松屋」が販売している「豚テキ定食」が大好評で、生産量が追いつかない状態になっている。
「豚テキ定食」は2014年12月4日に発売したばかり。肉厚な熟成チルド豚ロース肉を使用した、やわらかくておいしい「プレミアムシリーズ」として売り出したことが、功を奏したようだ。
「プレミアム牛めし」より1.8倍高いのに・・・
松屋の「豚テキ定食」は、ライスとみそ汁にポテトサラダが付いて、税込690円。肉が2倍でライス大盛または特盛が無料の「豚テキW(ダブル)定食」(みそ汁、ポテトサラダ付き)は990円で発売する。
290円の牛めし(並盛)の2.4倍、関東1都6県で販売している「プレミアム牛めし」(並盛)の380円と比べると1.8倍高いものの、「やわらかな食感が楽しめる」と、好調な滑り出しを切った。
松屋フーズによると、「豚テキ定食」は2005年10月に発売。その後、販売しない年もあったが、秋から冬にかけての数量限定メニューとして、最近は2012年から3年連続で販売している。
発売日のフェイスブックで、
「今年の『豚テキ定食』は、肉厚な熟成チルド豚ロース肉を使用し、より柔らかく美味しくなって登場!
松屋特製にんにくタレでごはんが進むボリューム満点な逸品です!」
とPRするように、肉厚でやわらかい、ワンランク上の味わいが楽しめる「プレミアムシリーズ」の1品であることが売り。さらに、化学調味料や人工甘味料、合成着色料、合成保存料を使わない「松屋特製にんにくタレ」の味付けや、注文を受けてから鉄板で焼く販売スタイルが受け入れられているようだ。
インターネットでは、「豚テキ定食」を食べた人から、
「覚悟が必要。生のニンニクの香りを感じるほどのニンニクメニュー」
「トンテキ定食。このソースが、ヤバい」
「スポーツ男子の喜ぶ味と、ガッツリなボリューム」
といった声が寄せられている。
松屋フーズは「お客様の反応をみながら」としながらも、今後は定番のメニューに「昇格」させることを視野に入れている。
発売後、わずか4日で売り切れ
そんな「豚テキ定食」だが、松屋フーズは2014年12月8日、ホームページ上で「豚テキ定食の販売につきまして」を公開。そこには、
「現在、豚テキ定食につきまして大変ご好評をいただいており、生産量が追いつかず、一部店舗にて、売り切れもしくは、時間限定販売とさせていただいております。
ご迷惑お掛けし大変申し訳ございませんが、ご理解頂きますようお願い申し上げます。」
とある。発売からわずか4日のことだ。
同社のフェイスブックには、
「トンテキ売り切れ状態、早くなんとかして下さい」
とのコメントが寄せられている。
松屋フーズは、「予定していた数量を大幅に上回ってしまい、それにより生産が追いつかなくなりました」と説明。もともと数量限定ではあるが、生産量を上げていくという。
一方、原材料費の高騰が続くなか、豚肉の価格も例外ではない。
豚肉は食肉の消費量で最も多いが、農林水産省が2014年12月に発表した「畜産の動向」によると、豚肉の14年4~9月期の消費量は全体で80万9000トンで、前年同期と比べて1.1%減った。輸入量は18.0%増え、43万3000トン。卸売価格(省令価格、4~10月期)は16.7%上昇して、1キログラムあたり平均586円(豚枝肉)となっている。
13年夏の猛暑で出荷頭数が減少したことに加えて、国内外で家畜感染症の「豚流行性下痢(PED)」による被害が広がったことが、豚肉の価格上昇に影響。それにより、消費量も減っているとみられる。
豚肉の価格について、松屋フーズは「前年同期と比べると値上がりしていますが、最近はPEDの影響があった今春よりも落ち着いてきました」と話し、豚肉の輸入や価格が「生産に影響していることはありません」という。
原材料費の高騰は悩ましいところだが、同社は2週間に1回のペースで新メニューを投入しており、「原材料費の押し上げ分を、(新メニューで)バランスをとっていきたい」と話している。