「夢は正社員になること!」――。2014年12月14日の衆院選投開票に合わせて民主党が制作したテレビCM「女性の味方編」が5日から放映され、注目を集めている。
働く女性や子育て中の母親に着目し、雇用の安定や育児支援などに取り組む姿勢をアピールしたものなのだが、有権者らからは疑問の声や違和感を指摘する声が少なくない。
夢は「安心して子育て」「お金貯めて彼氏と結婚」
CMは3人の女性が登場し、それぞれ希望を語る構成だ。1人目の女性はパソコン作業に打ち込む事務職とおぼしきOLで、「夢は、正社員になること!」とまぶしい笑顔で明かす。2人目は公園で息子と遊ぶ母親で、「安心して子育てをしたいです」と言う。3人目のカフェで働く女性は「お金を貯めて彼氏と結婚したいです」と満面の笑みを見せる。
そこで「一人ひとりを尊重し、共に生きる社会へ」「今こそ、流れを変える時」という力強いメッセージが流れ、最後は「民主党」の3文字が締める。
同時期から放映が始まった自民党や維新の党のCMには党首が出演しているに対し、民主党のテレビCMに海江田万里代表は出ていない。党首が力説するよりも悩める女性たちを描いたほうがイメージもわきやすく、親しみを持たれやすいと判断したのだろう。
なお、民主党はこの他にも「応援編」と題したCMを2タイプ制作し、ホームページなどで公開しているが、テレビ放映しているのは「女性の味方編」のみ。ターゲットが狭いにもかかわらず、テレビ用に選んだということはよほどの自信作なのだろうか。
ところが、ふたを開けてみると評価はいま一つのようだ。公開されるや否や、インターネット上には必ずしも好意的でない感想が続々と書き込まれた。特に目立つのが「夢は正社員」という部分へ疑問点を指摘するものだ。
正規雇用を希望してもなかなか叶わないという女性が少なくない現実をもってしても、党が正社員を「夢」として描くことには違和感があるようで、「何て小さい夢を国民に描かせてるんだよ...」「目標じゃなくて夢なのか...」といったコメントが数多く寄せられている。
重要なのは「待遇差別」の是正では?
また、非正規雇用の女性の中には自分の生活に合った働き方として自らパートや派遣といった形態を選んでいる女性もたくさんいるだろう。にもかかわらず正社員を「夢」として描き、それを叶えるために取り組んでいくとしている同CMは、多様な働き方という観点が抜け落ち、暗に非正規雇用を「下」「悪いもの」と見ているとも受け取られたようだ。
「今は働き方もシェアしようって流れで、夢は正社員って。ズレてる」
「正社員になることを夢に持たなければなれない社会じゃアカンよね。正社員か契約社員か選べねぇって事じゃん」
「正規雇用と非正規雇用の待遇差をなくす(同一労働同一賃金化)という方向で解決すべきじゃない?」