2018年の平昌冬季オリンピックについて、日本との共同開催や、そり種目など一部を移転する案について、韓国側は「日本とはありえない」としてきたが一転、共同開催を容認するような報道が相次いでいる。
容認の条件は2020年の東京オリンピック競技の一部を韓国に移転することらしい。「平昌と東京の五輪種目交換開催は検討に値する」などといった社説を掲載するメディアも現れた。
お互い費用を削減する現実的な方策が検討できる?
朝鮮日報は14年12月8日付けの日本語電子版で「平昌と東京の五輪種目交換開催は検討に値する」という見出しを掲げた。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ委員長が18年の平昌五輪と20年の東京五輪の種目の一部を分散して開催することは可能だと発言したことがきっかけとなっている。オリンピック開催には巨額の資金が必要で、日本も財政難で新競技場の建設を当初の10カ所から3カ所へ減らしている。JOCも平昌五輪の一部を日本で開催することに前向きだというから、お互い費用を削減する現実的な方策が検討できる、というのだ。
バッハ委員長の発言内容が正しいかは不明だが、「日本とはありえない」と断固拒否していると報じていた韓国メディアの主張が大きく変わったのは確かだ。
中央日報も同日付で、「そりが抜けた平昌?...IOC委員長『一部種目の日本開催を論議』」という見出しを掲げ、平昌と東京のオリンピック競技の一部移転についてこう報じた。
「来年は韓日国交正常化50周年で、五輪を両国による友好のシンボルとして活用できる (中略)また韓国と日本は2002年にサッカー・ワールドカップを共同開催した経験もある」
韓国メディアは14年12月7日までは、一部競技を日本で開催することはあり得ないし、
「主務官庁の文化体育観光部も『平昌のそり競技施設は昨年4月から既に工事が始まっている。現在としては日本と五輪競技を分散開催することは不可能』と強調した」(聯合ニュース)
などと主張していた。
実は、韓国の両紙ともに、東京五輪の一部を韓国で本当に開催できるなどとは本気で思っていないようだ。中央日報はこうも書いている。日本は夏季オリンピックの一部を現段階で韓国に移転するなどとは言及していないことも踏まえ、
「一部種目を韓国で開催する可能性は現時点では低いが、可能性はゼロではない」
と消極的なのだ。
「他国に頼らず国の威信をかけて開催するのがあたりまえ」
朝日新聞や欧米のメディアは、平昌五輪組織委が予算問題や工期の遅れなどを理由に、そり種目を1998年に冬季五輪を開催した長野で行う案を国際連盟と話し合っている、と報道している。日本での一部開催が既定路線となっていると判断し、容認するかのような記事を書いたのかもしれない。
では実際に平昌五輪の一部競技を日本で開催することになるのだろうか。JOC広報に話を聞いてみた。まず、12月8日、9日にIOCが臨時総会を開き平昌五輪の競技の一部を日本に移設するかどうかの話し合いが持たれる、といった報道が出ているが、規定を審議するだけで、個別案件には触れるはずがないと説明した。
日本での一部開催については、韓国から依頼は来ていないし、韓国は公式に「日本と五輪競技を分散開催することは不可能」と発表したわけだから、それが全てだ、と強調した。
「自分たちがやると言って手を挙げ、勝ち取ったオリンピックだから、他国に頼らず国の威信をかけて開催するのがあたりまえだと思いますよ」
とJOC広報は冷ややかだ。