車載や医療領域にも注力
スマホ向けのイメージセンサーなどをてがけるデバイス分野は、売上高8900億円に対し、営業利益率7.5%と、最も「稼ぐ力」がある領域。これを2017年度は売上高1兆3000億~1兆5000億円、営業利益率10~12%に高める。スマホやタブレットだけでなく、車載や医療領域にも注力する方針だ。
今年度、2040億円の赤字を計上する見通しのモバイル・コミュニケーション分野。主力のスマホ事業をどう立て直すのか、「ソニー復活」のカギを握る。事業子会社の社長に就任したばかりの十時裕樹氏は「売上高が2~3割落ちても利益が出る体制にする」と宣言。世界に13か所ある営業拠点の削減や、製品を半減するなどして、2016年度以降に安定的な収益を上げる体制にするという。11月の説明では数値目標を示さなかったが、今年度中に、計画の詳細を明らかにする予定だ。
ソニーの手堅い収益計画を、株式市場はひとまず前向きに評価しているようで、「今年度の無配を決断したことと併せ、再建への本気度は評価できる」との声がある。ただ、「エレクトロニクス部門を縮小するほど、ソニーの価値は高まる」(海外メディア関係者)との声もくすぶり、予断は許さない。今回の戦略の実行は、ソニー反転の出発点にすぎないと言えそうだ。