遺伝子資源を活用ルール定めた名古屋議定書 日本は批准が遅れ、ビジネス上マイナスに

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   動植物や微生物の遺伝子資源を活用して開発された医薬品などの利益配分に関する国際ルールを定めたで「名古屋議定書」が2014年10月、発効した。53カ国と欧州連合(EU)が批准し、発効に必要な50カ国以上に達したためだ。

   ただ、議定書採択を主導した日本は、制度整備などの検討が遅れて批准できていない。このため、企業の研究開発などに影響が出ると懸念する声も出ている。

遺伝子資源へのアクセスと利益配分の詳しい手続きを定める

   医薬品や食品などの研究開発や製造に役立つ動植物や微生物を「遺伝子資源」と呼ばれる。かつては企業の研究者らが世界各地の生物を自由に新薬開発などに利用していたが、1993年に生物多様性条約が発効し、「遺伝子資源の主権的権利は提供国にある」と明文化された。企業や大学などの利用者は提供国の同意の上で取得し、開発を通じて得た利益を配分することがルールになったのだ。その利益で生物多様性を守るという趣旨だ。

   2010年に名古屋市で開催された同条約の第10回締約国会議(COP10)で採択されたのが「名古屋議定書」で、遺伝子資源へのアクセスと利益配分の詳しい手続きを定めている。具体的には、(1)遺伝資源を利用する企業は提供国から事前の同意を得て、医薬品開発などで得られた利益を配分(2)利用国は、遺伝資源を不正に入手していないか、監視機関を設けてチェックする(3)各国が情報を共有できるよう、条約事務局に情報集約機関(クリアリングハウス)を設置する――などを盛り込んでいる。

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