会田誠氏「負けた...」村上隆氏「ボコられてます」
アートやサブカルチャー界隈からも2人の逮捕には批判的なコメントが出ている。編集者・写真家の都築響一氏は自身のメルマガのフェイスブックページに「おふたりともすごく強い信念のひとなので、こんなことで凹んだりはしないだろう。もし逮捕すればなんとかなると思ってるのなら、警察はずいぶん女をナメている」と綴った。美術評論家の樋口ヒロユキ氏も「しつっこいなあ、警察の人も。きらわれますよ」と呆れ気味だ。
現代アートに造詣が深い脳科学者の茂木健一郎氏も3日、ツイッターでこの問題に言及。その中で
「アートにおける批評性、表現の自由を肯定的にとらえる人にとって、今回のろくでなし子さんの逮捕は、警察の誤判断だと映るだろう。一方、警察は、必ずしも文化的な感性の高い人の認識を基準に動くのではない。あくまでも、一般の人々の感覚、認識をもとに、判断をして動く」
「その意味で、今回のような事態が起こった時に問題になるのは、果たして、日本の社会の中で、アートのもつ批評性、表現の自由についての理解、合意がどの程度形成されているか、ということだろう。今回の警察の行為が社会通念と明白にずれているという判断は、残念ながらできそうもない」
との見方を示した。
作品が「わいせつ」だとして物議を醸したことのある美術家らも反応している。
会田誠氏は3日、「北原みのりさんが逮捕されたニュースに『負けた...』と思う僕の捻れた感覚を告白しておきます」とのツイートを投稿した。会田氏といえば2013年の「犬」シリーズを巡る抗議問題が記憶に新しい。森美術館で開催した個展で、四肢を切断され首輪に繋がれた全裸の少女がほほ笑む「犬」シリーズを展示したところ、市民団体「ポルノ被害と性暴力を考える会」が森美術館に抗議したのだ。
精液を噴出する裸の青年のフィギュア作品「マイ・ロンサム・カウボーイ」などで知られる村上隆氏は、逮捕の是非の前に、この一件で「だったら村上氏の作品はどうなんだ」というようなばっちりを受けていることに困惑しているようだ。3日には「某氏の逮捕でまたもや村上ボコられてます」とツイートし、「某氏の表現と、ワシの表現のメッセージにはズレが有ります。ワシは日本人のエロに関して、語っており、某氏はジェンダー的な自由について語っておられると思うのです。向こうのほうが純粋な表現です」などと、五十嵐容疑者との作品表現における立場の違いを説明した。
一方、こうした「専門家筋」の困惑や反発意見とは別に、ネットでは「逮捕されて当然じゃないの?」「そもそも生理的に受け付けない」などの声もある。