ホンダが手がけるビジネスジェット機「ホンダジェット」の顧客への引き渡しが、2015年初頭にも始まる。2014年11月12日には、ジェット機向けエンジンの量産を開始した。機体、エンジンの両方を手がける稀有なメーカーとして、世界の空に挑む。
航空機市場参入は、ホンダ創業者である故本田宗一郎の夢だった。宗一郎氏が1991年に亡くなったあとも、ホンダの経営陣、技術陣は「自由な移動の喜びを提供したい」という理念を引き継いだ。
最大7人乗り、ビジネスジェットの中では小さいクラス
ホンダが小型航空機と航空機用エンジンの開発に着手したのは1986年。1997年にホンダジェットのプロジェクトが正式に始動し、2001年に米ノースカロライナ州に研究拠点を設立した。2006年には米国で受注を開始し、これまでに欧米で100機以上を受注している。14年6月には量産1号機が初飛行に成功した。
全長約13メートル、全高約4.5メートル、翼幅約12.1メートルで、定員はパイロットを含めて最大7人乗り。ビジネスジェットの中では小さいクラスに入る。従来は、エンジンを胴体後部に取り付けるのが一般的だったが、ホンダジェットは主翼上面に設置。空気抵抗を抑え、燃費性能や速度の向上、室内空間の確保につなげた。航続距離は2135キロで、米国内ならニューヨークからシカゴ、欧州なら英ロンドンから伊ローマへの飛行が可能だ。価格は1機450万ドル(約4億8000万円)。