成田空港を拠点にする格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパンは2014年12月3日、同社としては初めての国際線となる関西-香港路線を開設すると発表した。
ジェットスターは関空の整備拠点の稼働の遅れから「飛行機が余る」状態が続き、14年6月期には111億円の最終赤字を計上していた。拠点の整備が進んだことで多くの便を飛ばせるようになり、2年後の16年6月期には黒字転換を目指す。
増資分の110億円を1年で食いつぶす
ジェットスターが10月10日に発表した14年6月期の決算では、売上高は前年同期比約2.3倍の約291億円だったが、営業損益は90億円の赤字が107億円に拡大。最終損失も88億円から111億円に増えた。
飛行機を増やしたため乗客が増えて売り上げは伸びたが、関西国際空港の整備拠点の準備遅れで運航できる便数が限られた。飛行機の稼働率が低いという「飛行機が余る」状態だったため、維持費の伸びに売り上げの伸びが追い付かず、赤字が膨らんでいた。ジェットスターは13年10月に大株主の日本航空(JAL)と豪カンタス・グループから110億円の追加出資を受けたが、これをそのまま食いつぶしてしまった計算だ。
14年11月28日に両社から新たに70億円の増資を受け、さらに最大40億円の増資を受けることでも合意している。増資で財務基盤の立て直しを図る。これに加えて、現時点で19機運航している飛行機を12月中に20機に増やす。設置が遅れていた関西空港の整備拠点が14年6月に稼働したことから、今後は多くの飛行機を効率的に運航できると説明している。具体的には、稼働前の13年冬ダイヤでは1日最大72便しか運航できなかったが、14年冬ダイヤでは48.0%増の最大108便を飛ばせるようになる。
国際線就航と関空の拠点化で飛行機の稼働率が上がる
都内で行われた発表会に出席した鈴木みゆき社長によると、最終赤字の111億円という数字を「最低、ボトムだと我々は考えている」といい、「すでに足元の収益は改善している」とも説明。黒字化にある程度の自信を見せている。
「国際線就航で機材の稼働率も上がるし、6月に新設した関空の基地も大きく(稼働率アップに)寄与している。稼働率を上げて単価を下げるという行動は積極的に進めており、ある程度自信を持って邁進していきたい」
ただし、関西-香港線の開設で劇的な収益改善につながるかは未知数だ。ジェットスターは15年2月28日から週3便で運航を始め、片道599円(サーチャージ込み2799円)というキャンペーン運賃で認知度アップを図る。同路線にはすでにLCCだけで香港エクスプレス航空とピーチが1日2便(週14便)ずつ運航している。いわば「ビルの谷間のラーメン屋」としての存在感を試されることになる。