787のバッテリー出火事故、米当局が最終報告書 根本原因解明できないまま製造過程の「欠陥」指摘

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   2013年にボーイング787型機のバッテリーで発火事故が相次いだ問題で、米運輸安全委員会(NTSB)が2014年12月1日(米東部時間)最終調査報告を発表した。

   バッテリーの製造過程に欠陥があった上、行政も熱暴走のリスクを見逃したまま認証を行ったことが事故につながったと結論付けた。ただ、熱暴走のきっかけになった「セル」内部のショートの根本原因までは解明されておらず、原因解明が進まないまま製造元の日本企業がスケープゴートにされる可能性もある。

「セル」のひとつがショートして他に波及し「熱暴走」する

1つのセルのショートが他に波及して「熱暴走」が起きたとみられている(NTSB報告書より)
1つのセルのショートが他に波及して「熱暴走」が起きたとみられている(NTSB報告書より)

   NTSBが調査対象にした事故は、13年1月7日朝(米東部時間)、日本航空(JAL)の成田発ボストン行きのJL008便で起きた。ボストンに到着し乗客乗員が飛行機を降りた直後、機体後方にある電気室の補助動力装置(APU)用のバッテリーが発火し、約8センチの炎と煙が上がった。発火したバッテリーは、日本のGSユアサ(京都市)製だった。

   13年1月16日には、全日空(ANA)機でも似た問題が起きた。山口宇部発羽田行きのNH692便でバッテリーが発火し、高松空港に緊急着陸。この事故については日本の運輸安全委員会が調査を行い、14年9月25日に最終報告を発表している。この報告では、8つある「セル」と呼ばれる部分のひとつが内部でショートして発熱し、その発熱が他のセルに波及してバッテリーが熱暴走したことが原因だと結論付けていた。たが、ショートの発生については「その順序を最終的に特定することはできなかった」と結論付けており、原因は未解明のままだ。

   今回NTSBが発表した報告書でも、「セルのひとつがショート→他のセルに波及→熱暴走」という経過はANAの事故と同様だとみており、事故が起こった背景にも踏み込んでいる。今回のような事故の経過は、

「ボーイングが787の認証プログラムの一環として行った試験や分析では想定されていななかった」

としながら、GSユアサやボーイングの想定の甘さを批判した。

「しかし、GSユアサは運航上あり得る最も厳しい条件下での試験をしておらず、試験用のバッテリーは、機材搭載用に認証された最終デザインとは異なるものだった。さらに、ボーイングのバッテリーに関する分析は、セル内部のショートの結果としてバッテリーの熱暴走が起こる可能性を考慮していなかった」
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