名古屋市採用試験は「女性優遇ではないか」 疑惑の原因は二次試験の面接にある?

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   安倍晋三内閣がアベノミクスの成長戦略のひとつに掲げる「女性の活躍推進」の後押しもあって、女性の積極登用が進んでいる。そうした中、自治体の職員採用試験で「女性が優遇されているのではないか」との声が出てきた。

   「行き過ぎた」女性の採用で、男性の就職機会が奪われているというのだ。

名古屋市の職員採用試験の結果を見て「あぜん」・・・

自治体職員の採用試験、女性は優遇されているのか?
自治体職員の採用試験、女性は優遇されているのか?

   2014年度に行われた名古屋市の職員採用試験は「女性優遇ではないか」――。12月1日付の朝日新聞(8面「Opinion」欄)に、こんな声が寄せられた。

   名古屋市の職員採用試験は、第1類免許資格職の事務系(行政一般、法律、経済、福祉の4区分)に、男性1196人、女性635人が受験した。1次試験の合格率は男性39%、女性37%。ところが、2次試験のそれは男性が36%だったのに対して女性は65%とハネ上がり、最終的な合格者は男性168人、女性155人と拮抗した。

   この結果に、投稿者は「あぜんとしてしまった」といい、「人為的な性差別が行われたと推認せざるを得ないのではないか」との疑問を投げかけた。

   「ほかに能力の高い男性がいるのに、女性が優先的に採用・登用されたとすれば、これは男性差別にとどまらず、能力主義の否定でもあり、大問題であると思う」とも述べている。

   名古屋市は「性別への配慮はありません」(人事委員会)と言い切る。「合否の判定時には(担当者は)性別などのデータはもっていません」と説明。男女の差がなかったのは、あくまで「結果」という。

   市によると、「特別な取り組みをしているようなことはありませんが、ここ数年、女性の採用比率が上がっているのは事実です」と話す。ただ、採用試験では「そういった(女性を優遇するような)判断はなく、採点で上から順番に採用していった結果です」と、恣意的なことはないと強調する。

   じつは「女性優遇」について、自治体の職員採用試験への不信感は、2013年10月に大阪府の「府民の声」にも寄せられていた。

   そこでは、「大阪府職員採用試験の男女合格率の男女差は、『雇用機会均等』の趣旨から逸脱した、過度な『女性優遇』=『男女差別』であり、看過し得ない状況にある」と指摘。「『人物重視』で選考をした結果ということだが、男性は人物面で女性に数倍も劣るのか。あるいは女性を優先採用して当然と考えているのであれば、その旨を根拠とともに、募集要項に記載すべきでないか。仮に女性優遇方針がないのに選考基準でこのような歪んだ格差が生じるのであれば、選考基準に問題があるのではないか」と厳しく質しており、「直ちに是正すべき」としていた。

「合否の結果から、そういった疑念をもつ人もいるかも」

   こうした「府民の声」に、大阪府は「女性が多いことは認識しています」としながらも、「あくまで試験の結果ですし、性別で合否を判断することはありません。(府民の声は)ご意見として、うかがっています」(人事委員会)と話している。

   「男性への不利益は、公平性の観点から断じてありません。合否の結果だけを見ると、そういった疑念をもつ人もいるかもしれませんが、そのようなことはありません」と、「女性優遇」については繰り返し否定する。

   名古屋市と大阪府のケースから、「女性優遇」疑惑の原因は、どうやら2次試験以降の面接試験にあるようだ。

   面接はどうしても面接官の主観が入る。自治体に限らず、面接官は男性が多いので、「女性に甘い」との指摘がある。そのため「女性有利に働く」と推測してもおかしくない。

   名古屋市は2次試験の面接官について、「試験の内容にかかわることなので詳しいことはお話しできませんが、いろいろな部署に手伝ってもらっています」とだけ話した。

   安倍内閣は「女性の活躍推進」の一環として、国家公務員の2015年度の採用者に占める女性の割合を30%以上(13年度実績26.8%)に引き上げる目標を掲げている。地方自治体の職員採用でも、この目標は無視できないこともありそうだ。

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