福岡市の飲食店で女性客を監禁、暴行したとして集団強姦と強姦などの疑いで逮捕された男性従業員らについて、福岡地検は2014年11月28日、不起訴処分とした。
事件が報じられた直後から、その手口に怒りを覚える人が多かった。不起訴とした今回の検察の判断には不透明な部分があり、疑問を持つ人も少なくない。
検察は不起訴の理由を明らかにせず
これまでの報道をまとめると、容疑がかけられた事件の概要はこうだ。
11月6日午前0時ごろ、福岡市内の繁華街・天神のワッフルなどを販売するカフェで、従業員の男2人が店内に1人でいた20代の女性客を閉店後に監禁し、集団で暴行。その後、男のうち1人が女性を近くのラブホテルに連れて行き、再び暴行したという。
女性が被害を受けた後、6日未明に福岡県警中央署に相談し、事件が発覚。8日、同署は従業員2人を逮捕。また、2人の容疑者が一緒にいたことを事情聴取で隠したとして、カフェの経営者を犯人隠匿容疑で逮捕した。
しかし、逮捕直後から3人はいずれも容疑を否認。スポーツ報知によると、ラブホテルで再び暴行を加えたとされる容疑者の男は「強姦していません。エッチはしましたが、女性との合意の上です」、集団強姦のもう1人の容疑者は「(容疑は)合っていません」などと供述していたという。
この3人に対し、福岡地検が下した処分は不起訴。処分理由について明らかにしなかったため、ネット上には「不起訴??はぁ??」「マジかよ...なんでよ」「何が何だかよくわからん...」といった疑問の声が相次いだ。
不起訴はどんなケースが考えられるのか
強姦の容疑がかけられながら、不起訴処分となったことに疑問を持つ人は多い。処分の理由はどういうものが考えられるだろうか。
板倉宏・日本大学名誉教授(刑法)は、強姦が疑われながら、検察が不起訴と判断することは、「まれにありうること」と語る。それは「嫌疑が不十分な場合」と「示談が成立している場合」の2つのケースが考えられるという。
嫌疑が不十分な場合とは、「元々、女性との間で性交渉の合意があったなどした場合」(板倉教授)が考えられ、そもそも強姦罪が適用されないケースだ。また、被害者との示談がすでに成立している場合、板倉教授は「性犯罪の場合、法廷に出ることで、事件がオープンになることを被害者側が嫌がることがあります」という。こうしたケースで、検察が起訴を見送ることが考えられるそうだ。
ただ、今回の事件では福岡検察が処分理由を明らかにしていない以上、合意があったのか、示談が成立しているのかは、推測の域を出ない。これまで強姦容疑がかけられた事件が不起訴となった場合、検察が処分理由を発表したことはほとんどない。