消費税率の2015年10月再引き上げが1年半延期されたことで、2015年度の税制改正作業が見直されることになる。
車を買う時にかかる自動車取得税(地方税)の廃止が先送りになり、法人実効税率の引き下げ幅に波及するとの見方が出るなど、再増税を前提とした制度改革は軒並み延期、仕切り直しになる。
税制の多くの分野で増税延期のしわ寄せ
アベノミクスの最重要の柱である法人税改革では、現在約35%の法人実効税率を「数年で20%台に引き上げる」と決めている。そのために、赤字企業にも課税する外形標準課税の強化、企業が抱える赤字を翌年度以降に損金算入できる繰越欠損金制度や企業が受け取る株式配当の非課税制度の縮小など代替財源の確保の議論を詰めてきた。
しかし、再増税の延期で、2015年度は約1.5兆円の税収が消える一方、自民党は衆院選公約で、消費税率を10%に引き上げる2017年4月までの間にも、子育て支援や介護などの社会保障サービスを充実させる方針を盛り込み、財政健全化も「目標達成の計画を来夏までに策定」と目標堅持を明記した。そのための財源確保は容易ではなく、税制の多くの分野で増税延期のしわ寄せが及ぶのは必至とみられる。
法人税について宮沢洋一経済産業相は「2015年度から(実効税率を)2.5%以上引き下げ」と、減税先行を表明していたが、「財源確保のため、税率の下げ幅圧縮が必要」(与党税調筋)との声が聞かれる。