与野党8党首が2014年11月29日夜に行われた「ニコニコ生放送」向けの党首討論で、論戦を繰り広げた。11月21日の衆院解散後に党首による討論会が行われるのは初めて。
主な論点は経済政策で、安倍晋三首相(自民党総裁)はアベノミクスの成果を強調し、対する野党は、次世代の党の平沼赳夫党首以外は「一部の大企業や富裕層、大都市を優遇する一方で、中間層、中小企業、農家、地方を切り捨ててきた」(社民党・吉田忠智党首)などと批判を展開した。
安倍首相は1回の発言で複数の反論をする必要がある
11月21日の解散以降、党首討論が開かれるのは初めて。左から吉田忠智・社民党党首、志位和夫・共産党委員長、山口那津男・公明党代表、海江田万里・民主党代表、安倍晋三首相(自民党総裁)、江田憲司・維新の党共同代表、平沼赳夫・次世代の党党首、小沢一郎・生活の党代表
党首討論は、出演者が挙手して指名されたら1分間話すというスタイルで進行。大半の野党がアベノミクス批判を展開するため、安倍首相は1回の発言で複数の論点に反論する必要がある。例えばこうだ。
民主党の海江田万里代表が円安の進行を、
「去年から今年にかけて、とりわけ今年に入って、円安による中小企業の倒産が、一挙に去年の3倍近くになっている」
と批判し、労働者派遣法改正案にも触れた。共産党の志位和夫委員長も、
「無期限に派遣が使い続けられるようになるわけですから、これは『生涯派遣、正社員ゼロ』という批判が出るのは当たり前。こういうこと、賃下げ政策をやっておきながら賃上げを進めるのは、言っていることとやっていることが違う」
と続けた。その次に、維新の党の江田憲司共同代表は、失業者に対する北欧型のセーフティーネットを充実させるべきだと主張した。安倍首相は、これらの議論に一度に反応しなければならないわけだ。
海江田氏の円安の議論に対しては、
「(民主党が政権を担っていた)2年前には円安による倒産はありませんよ、だって円高なんですから。その比較はまったく間違っている。大切なのは絶対数で、我々は民主党政権時代よりも2割倒産を減らしている」
と反論した。