40年超老朽原発の運転延長、そして大間新規稼働 次期政権は原発「推進」に舵を切る見通し

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   衆議院の解散・総選挙で最大の争点はアベノミクスの評価だが、原発の再稼動や廃炉をめぐる問題も忘れてはならないテーマだ。原発再稼動を進める安倍政権下では、関西電力が運転開始から40年を迎える高浜原発1、2号機(福井県)の運転延長を目指すほか、電源開発(Jパワー)が青森県大間町で建設中の大間原発を2021年度に運転開始する方針だ。

   東京電力の福島第1原発事故後、電力会社が40年超の老朽原発の運転延長を申請するのは初めて。国内に3基ある建設中の原発が運転開始を申請するのも初めてとなる。総選挙を経て、次期政権はこれらの課題に直面することになる。

川内原発1、2号機は年明けにも再稼動する見通し

次期政権、「原発」の課題は積もりに積もっている(画像はイメージ)
次期政権、「原発」の課題は積もりに積もっている(画像はイメージ)

   総選挙ではアベノミクスの影に隠れがちだが、エネルギー政策には課題が多い。九州電力の川内原発1、2号機は年明けにも再稼動する見通しだが、老朽原発の運転延長や廃炉と並び、原発の新設や増設を認めるか否か、という難題が次期政権を待ち構えている。

   国内には運転開始から40年前後経過した老朽原発が7基ある。原発事故後、政府は原発の運転期限を原則40年と定め、通常の定期検査よりも厳しい「特別点検」に合格すれば、例外的にあと20年の運転延長を認めることになっている。

   電力会社が運転延長を目指す場合は2015年7月までに特別点検を行い、原子力規制委員会の審査を受ける必要がある。このため、小渕優子経済産業相(当時)は14年10月、7基の老朽原発を廃炉にするか、運転延長を目指すのか、早急に判断するよう電力会社に求めた。

原発を長く使った方が電力会社としては収益が高まる

   20年延長を目指すには、ケーブルの難燃化など安全対策に膨大なコストがかかるほか、1970年前後に運転を開始した40年超の原発は出力が小さいため、電力会社にとってコストをかけてまで運転を延長するメリットは少なく、廃炉が進むとみられていた。

   ところが関西電力が老朽原発のうち、出力82.6万キロワットと比較的大きな高浜原発1、2号機について、運転延長を目指す方針であることがわかった。安全対策のコストをかけても、原発を長く使った方が電力会社としては収益が高まるからだ。

   一方、Jパワーは建設中の大間原発について、完成時期を2020年12月と想定し、北村雅良社長が大間町や周辺自治体、青森県を訪れ、新たな工程や安全対策を報告した。年内にも原子力規制委員会に運転開始に向けた安全審査を申請する見通しだ。国内には建設中の原発が大間原発のほか、中国電力島根原発3号機、東京電力東通原発1号機の2基がある。大間原発は東日本大震災後、工事を中断していたが、12年10月に再開。運転開始の申請が注目されていた。

大間原発安全審査申請は事故後、建設中の原発としては初めて

   大間原発はこれまでの国内の原発とは異なり、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を100%使う世界初の「フルMOX」原発で、その安全性をめぐり、対岸の函館市が国とJパワーに建設差し止めを求める訴訟を起こしている。Jパワーが大間原発の安全審査を申請すれば、福島第1原発事故後、建設中の原発としては初めてになり、原発再稼動問題が新たな局面を迎えるのは間違いない。

   函館市の工藤寿樹市長はJパワーの安全対策について「今の基準に合うよう変えたというが、何を今更と言うほかない」と反発。規制委の田中俊一委員長は大間原発の審査について「基本的には今までと同じだと思うが、フルMOXは世界でも実例がないから慎重に評価することになる」と会見で述べている。

   自民党が総選挙で勝利すれば、老朽原発の運転延長や建設中の原発の運転開始が進むのは確実だ。

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