読売新聞は英字紙で慰安婦を「性奴隷」などとする不適切な表現があったと謝罪したが、ほかの英字紙や海外紙でも、この表現が頻繁に使われていた。こうしたことを通じて、慰安婦=性奴隷という認識が海外で広まった、という見方もある。
「本社英字紙で不適切な表現 慰安婦報道でおわび」。こんな見出しの記事が、2014年11月28日付の読売新聞朝刊に載った。都心部の版では、社会面右下の隅に2段見出しで出されていた。
97本の全記事に、表現が不適切だったと付記
読売新聞は、現在はジャパン・ニューズと名前が変わった英字紙「デイリー・ヨミウリ」を出していた。その1992年2月から2013年1月まで計97本もの記事で、性奴隷を指す「sex slave」「servitude」といった表現が使われていたことが社内調査で分かったというのだ。
うち「性奴隷」にあたる単語を使っていたのが85本、「日本軍によって売春を強要された女性たち」などと表現したものは12本あった。こうした表現を使った理由については、「慰安婦(comfort women)」という表現が外国人には分かりづらかったため、外国の通信社の記事を参考にして、誤った認識の下で本紙にはない説明をしてしまったと言っている。
1993年発表の河野談話についても、「軍当局による強制連行を認めた」と単純化してしまったこともあったとした。
そのうえで、記事データベースで97本の全記事に、表現が不適切だったと付記することを明らかにした。また、ジャパン・ニューズにも28日付でおわびを出し、その公式サイトで記事リストを公表したとしている。
読売のおわびについて、ネット上では、「反省、修正記事を出したことは評価する」といった声はあった。しかし、「これまでの他社追求の経緯を考えると,自分のミスを『おわび』だけとかあり得ない」「世界に性奴隷を積極的に発信したんだから、世界で取り消して回れよ」などと厳しい指摘も出ている。