地震後数年たってから噴火したケースも
2011年3月11日の東日本大震災以降、これまでに複数の火山の噴火が確認され、御嶽山のように予期せぬ噴火もあった。2013年には、小笠原諸島(東京都)の西之島付近の海底火山が爆発して新島が出現。今も溶岩が噴出し続けて、面積は元の島の8倍以上となっている。
大地震による火山噴火の誘発について、火山噴火予知連絡会会長で東京大学名誉教授の藤井敏嗣氏が、NHK「そなえる防災」ウェブサイトで2012年7月3日に解説している。富士山の宝永噴火の49日前には、マグニチュード(M)8.6の地震が発生していた。1991年にフィリピン・ピナツボ火山が噴火したのも、1年前に100キロ離れた地点を震源に起きたM7.8の地震が誘発したと考えられているという。さらに、「世界の例からすると地震後数年たってから噴火したケースも知られていることから、まだしばらくは注意が必要です」と警鐘を鳴らした。東日本大震災から3年8か月が経過したが、安心はできない。
富士山周辺の自治体は、「まさかの事態」に備えて準備に励む。2014年10月19日、静岡、山梨、神奈川による「富士山火山三県合同防災訓練2014」が実施された。避難訓練や救出訓練を、3県の県民が一緒に行う初の試みとなった。山梨県富士吉田市は11月4日、「富士山火山対策室」を開設し、災害発生時の住民の避難計画策定などを進めるという。静岡県では11月21日、2014年度12月補正予算案に富士山の噴火に備えた火山安全対策調査の費用として500万円を計上した。
とはいえ300年以上起きていない富士山の噴火だけに、想定外の事態に陥らないとも限らない。ましてや大規模噴火となれば人々の生活への影響は計り知れず、被害が東京まで及べば首都機能がマヒする恐れも出てくる。国や自治体、さらには個人レベルでの、万全の備えが今のうちから求められるだろう。